やって来た朋名の家の宿屋。
私は目の前で始まった汚い食事の仕方と喧嘩を見て大きく肩を落とす。
「あッ、てめェ!!それ俺がとっておいた酢豚じゃねーかよ。かえせ!!」
「るせーな、イジきたねーぞ猿!草でも食ってな」
「言いやがったなこのC級エロ河童!!」
「ンだと、コラクソチビ猿!!」
机から立ち上がるなり睨み合う両方。
私は怒りに震えだした真横の三蔵を確認すると二人に手を合わせる。
と、同時に決まった見事な三蔵のハリセン。
「静かに食え静かに!!!」
私はぼーっとボケる四人を眺めながらその場で肘を付く。
そして、そんな中に現れたのは朋名ちゃんのお父さん。
彼は机に茶を置くと口を開いた。
「ところで、お客さん達、東から来たんだってネ」
三蔵が箸を片手にその言葉に頷く。
「ああ、そうだが」
すると、彼の隣にいた朋名ちゃんが感嘆の声をあげたと思うと続けた。
「東の砂漠は物騒であんまり人は通らないのに皆さんよく無事でしたね。特に最近すっごく狂暴な五人組の妖怪が出没するって噂ですよ。彼らの通った跡には妖怪の屍ができるって。同種争いで人間に被害はないらしいですけど」
恐らくこの言葉を聞いている限り、確実にその妖怪五人組は私達のことだろう。
しかしなんだ、なんで五人組なんだ。
今までに一回でも私が戦った覚えは……あるね。
でもあれは偶然三蔵が攻撃によって銃をこっちに飛ばしてきて、彼が危険に晒されてたから仕方ないじゃないか。
殺らなければやられるし、もう目の前で大切な人の命は失いたくない。
『お姉ちゃん!』
私は窓辺に目を向けて現実から逃避することにした。