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▽ 3


入学式も早々に終わり、私は大きく伸びを一つ。

「ふぅー!」

そして、首を回しながらクラス割を見ればそこには何故か私とテツヤの名前が同じクラス表にあるではないか。

「美桜、教室に行きますよ」

「了解!」

私は内心で『双子を同じクラスにしてもいいのか』と思いながらこちらに声を掛けてきたテツヤの方に駆け出す。

途中、視界の隅に沢山のカラフルな髪の毛が見えた。

でも、その中で見覚えのある髪を見た。

エメラルドグリーンのサラサラヘア。

思い浮かんだのは、未来でヴァリアーさんたちの霧の代理をしていた少年。

……待てよ、あの子何歳だっけ?

「え、いや。え?」

私は一度その場で足を止め、私同様に無表情でこちらを見ている彼に声を掛ける。

「……えっと、こんにちは?」

すると、彼はぬぼーっと読めない顔のまま私を指差しながらなんとも失礼な発言をしてきた。

「あー、幽霊ですねー?」

「いや、違うから」

咄嗟に突っ込んだ私は悪くない。

けど、やっぱり彼は私を知ってる。

私は確信を持ったまま、彼の名前を呼んだ。

「……フラン?」

「あー、やっぱり美桜さんですねー」

うん、フランだ。

お互いにうんうんと頷く私たち二人。

すると、いつまで経っても自分の元にやって来ない私に痺れを切らせたのであろうテツヤがこちらにやって来た。

「美桜、いつまで待たすんです……か?」

テツヤはフランを見て固まり、フランは興味無さそうにテツヤを一瞥してこちらに話しかけてくる。

「美桜さん、後で時間ありますかー。色々話したいことがあるんですけどー?」

「うん、あるよ。私もその話聞きたいし……」

フランは私の返事を聞くなり、私の隣でテツヤがだんだん黒いオーラを出し始めたのに気付いたであろう。

彼はそのまま私に「じゃあまた後でー」というとその場から去って行った。

私は心の中で変わっていない彼の様子に軽く安堵の溜め息を吐くと、真横でフランの去って行った方向を見ているテツヤの手を取る。

「待たせてごめんね。彼友達なの!ってことで行こっか……」

「……そうですね。美桜、男女交際はダメですからね?」

「ん、分かった」

私は頭を撫でてくるテツヤを引き連れて、教室へ向かう。

フランは多分教室が違うからテツヤの餌食になることはない……といいな。

まあ、フランだし大丈夫でしょ!

ベルにナイフ投げられても平気ぐらいの丈夫さを持ってるし。

後でいろいろ聞かないと!

私は真後ろで不思議そうな表情をするテツヤを無視して教室に入った。



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