『恭ちゃーん』
「やぁ名前」
無邪気な笑顔で応接室に入ってきたのは、所謂彼女の名前。
名前は昼休みになるといつもここに来る。
無論、僕に会うためにね。
『今日のお弁当は自分で作ったの!』
「ワォ名前がかい?すごいね」
『恭ちゃんの好きなハンバーグもあるんだよー』
そう言ってお弁当箱の中を見せてくれた。
ほんとだ。ハンバーグ美味しそう。
素直に嬉しいよね、こういうの。
可愛い彼女が自分の好きな食べ物を作ってきてくれる。
ほんと、可愛いな名前は。
『あげないけどね!!』
そう言って名前は一番頑張って作ったらしいハンバーグを食べた。
え、あれ。
……くれないんだ。
まぁ、もぐもぐしてる名前が可愛いからいいけど。
そうして昼食を食べ終えると、僕は仕事を始める。
これはいつものこと。
僕が仕事を始めると、しばらくは大人しい名前も、寂しがってこちらを見る。
その姿があまりにも可愛いから、僕はいつも仕事を昼休みの為に残しておくんだ。
そう、いつものこと。
今日もお弁当を食べ終えて仕事に取りかかろうとした。
『恭ちゃん、安心して!』
ニコニコしながら名前がこちらを見た。
「…何の話?」
『今日は恭ちゃんの仕事の邪魔しないように、ちゃんと本持ってきたの!』
ほら、と言って本を取り出す名前。
……あれ。
「ねぇ名前、それは本じゃなく絵本だと思うんだけど」
彼女が出したのはスイ●ーの、絵本(だと僕は思う)。
『えー。どっちでも同じじゃん』
「……」
そして静かにスイ●ーを読み始めてしまった。
…いいけどね。うん。
僕も仕事しよう。
―――――10分後
『…う、』
………え?なにこれ。なんなの、この状況。
突然、名前が泣き出した。
つぎ