木の実の仲
カラクサタウンを出て、2番道路を進む。
森を切り拓いたこの道を通り抜ける風は、町中のものよりずっと涼しい。
いつものようにオレのフードの中に入ったタージャも、心地よさそうに体を揺らしていた。
「きゃんきゃん」
とてとてとオレの少し後ろを歩いていたリクが、注意をひく声を上げた。
「どうした、なにかあったのか?」
「きゃう」
リクは道外れに広がる森に向かって鳴いた。
あっちが気になるようだ。
「あっちに行きたいのか?」
「きゃん」
リクが大きく頷く。
オレは目を凝らし、森の奥を見つめた。
木が生い茂っていて、先がよく見えない。地面も整備されているはずがなく、藪道が続いているようだった。
吹き抜ける風は爽やかだが、入るのは少々気後れする森だ。
それでも、臆病なリクが行きたがる所なら、危険はないと考えていいだろう。
特に急ぐ旅でもないし、タウンマップを無視するのも一興か。
「よし、行ってみるか。タージャもそれでいいか?」
「ジャ」
好きにしろとでも言うように、タージャは短く鳴いた。
それを合図に、藪を掻き分けて森の奥へと足を踏み入れた。