*下ネタ注意
身体を揺すられる感覚に、ぼんやりと意識が覚醒した。
重い目蓋をなんとか持ち上げる。まず目に入ったのは、自分の部屋の天井ではなく、おれを見下ろすリッカの顔だった。
「おっはよー!ひさっちゃん!」
「……おはよ」
「今日もいい天気だよー!」
と、リッカはカーテンを開けた。
寝惚け眼には、差し込む朝の日差しですら眩しい。
朝起こしに来てくれる幼なじみなんて、昔は漫画やアニメくらいにしかいないと思っていたけど、ヒオウギに越してきてから2年、何故か朝の恒例行事になっている。この状況を羨ましいと思う人もいるようだけど、正直慣れると何の感情もわかない。
あくびを噛み殺しながら、上体を起こす。
と、下半身の違和感に気付いた。
その理由に思い至り、一気に目が覚めた。同時に血の気が引く。けれど、1番引いてほしいところは引いてくれない。
「どうしたの?顔色悪いよ」
「大丈夫。なんでもないから、先行ってて」
恥ずかしさで震える声で伝えると、リッカははっと察したような顔をした。
「もしかして、おねしょ?」
「ちがう!」
確かに、寝ている時に起こる生理現象ではあるけれど。
「とにかく、なんでもいいからはやくいってよ!」
じゃないと、布団からでられないから!
「よくわからないけど、困ってるひさっちゃんを放っておけないよ!」
「おれのためを思うなら、放っておいてよ!」
「できないよ!」
「お前ら、なにやってんだよ」
「せっちゃん!」
「ニーサン!」
割り込む声がしたと思ったら、ニーサンが戸口に立っていた。
渡りに舟、とばかりニーサンに助けを求める。
「ニーサン、リッカをつれて先行ってて!」
「いいけど、どうしたんだ?」
「あの、朝のあれが」
リッカの前で直接言うわけにもいかず、かなり抽象的な言い回しになった。
それでもニーサンには伝わったらしく、なにも言わずにリッカの腕を引っ張った。
「ほら、いくぞ」
「ちょっと、せっちゃん!ひさっちゃんはどうするの!?」
「ヒサメなら後からちゃんとくる」
リッカはまだ何か言っていたけれど、ニーサンに引きずられて部屋からでていった。
それを見届けて、おれはようやく安心して布団からでることができた。
リッカがヒサメを起こしに来るイメージはずっとあったけれど、ふと年頃の男の子だったらこういうこともあるんじゃないかと思いました。
意味がわからなかった方は、いつかわかる時がくると思うので、くれぐれもご家族またはご友人に尋ねたりなさらないよう。