すれ違って想い届く ----------------------------------------------------------------------------- 平助が死んでから数ヶ月が経った。 最初は立ち直れなかった私も、だんだんと今までの生活に戻りつつある。 …ただ、まだ心の中にはまだ平助がいる。 あの時、平助の告白を断っていなければ… そんなことを考えてはまた悲しみがこみ上げてくる。 「だめだよね、こんなんじゃ」 私はちゃんとしていなきゃ。 ―事件はある日の夜に起きた。 「大変だ!」 夕餉を食べていると、慌てた様子で原田さんが入ってきた。 そして土方さんに駆け寄ると、何やら小声で話す。 「…何!?」 土方さんは途端に顔をしかめる。 「おいてめぇら!」 すると幹部のみんなはそれを待ち構えていたように立ち上がる。 「わ、私も、」 私も何かをしなければ。 そう思い立ち上がるが、 「名前ちゃんは自分の部屋にいて。 僕たちがいいよって言うまで絶対に出てきちゃダメだよ」 沖田さんにそう言われてしまえば、返す言葉なんでなかった。 「はあ…」 私は自分の部屋で1人、ため息をついていた。 「私、だめだなあ…」 せっかく新選組の一員なのに。 …平助の代わりになれれば。 そんなの、無理だって分かってるけど… 「何しようかなあ…」 沖田さんには『眠くなったら寝てていいよ』って言われたけど、寝れるわけない。 「どうしよう…」 そうまたため息をついた、そのとき。 「ひひひぃ…」 スパンッと扉が開き、『何か』が現れた。 「血…血をくれぇ…!」 白髪頭で赤目のその人は、私を見てニヤリと笑う。 「な、に…? 誰…!?」 そんな私の話も聞かず、その人は刀を持って近づいてくる。 だめだ、頭が追いつかyない。 「ひひひひひぃっ!」 斬られる―! そう思ったときだった。 「名前に触んじゃねえ!」 と、誰かがその人を突き刺した。 「ひぃぃぃぃぃ!」 その人は、バタリと倒れた。 ―う、そ。 暗くて見えないけど、満月の光に照らされているのは、確かにー 「…へい、すけ…?」 死んだはずの彼だった。 「…名前…」 なんで? どうして平助がーここにいるの? まさか…助けてもらったのは夢で、私も死んじゃったの? 「名前ちゃん、大丈夫!?」 混乱していると、沖田さんが慌てた様子で入ってくる。 すると沖田さんは座り込んでいる私とその前にある死体と、そして平助を見て、 「あちゃー…」 と呟いた。 → Back |