「おっし!今日は俺の奢りだ、好きなだけ呑んで良いぞ!」
「さっすが左之!平助も可哀想だよな、こんな時に夜の巡察だなんてよ〜」
『新八さん、それ、絶対思ってないでしょ』
上機嫌な新八さんに、名前も笑いながら言葉を返す。
「人聞きの悪い事言うんじゃねえよ〜!総司も、せっかく左之が勘定持ってくれるって言ってんだ!来れなかった奴らの分まで呑まねえとバチがあたんぞ」
そう、今日僕は、左之さん、新八さん、そして名前と共に島原へ来ていた。
平助と一君は巡察に出ているし、土方さんは仕事が残っているとかで来られないらしい。
「ま、無理は言わねえよ。お前らも、呑みたくなったら遠慮せずに呑んでくれ」
『うん、ありがと、左之さん』
いつもは夜も屯所を空けている事の多い名前だけど、今日はたまたま外謀にも出ていなくて。
こうして一緒に出てきたわけだけど……
はっきり言って、名前はお酒に強くない。
『総司、これ、美味しい!』
僕の横でちょこちょこと料理に箸をつけている彼女は、時折僕の方を向きながら笑顔を見せる。
「あん?お〜い、名前!お前全然呑んでねぇじゃねえか〜!おら、早く呑め、呑め!」
そのうちお酒の回ってきた新八さんがやってきて、名前に絡み始めた。
『あ、いや、俺は……』
「お前なぁ、酒も酌み交わした事ない奴に、背中を預けられると思ってんのかぁ〜?いーから、呑めって!」
『だから、俺は……』
なみなみに注がれたお酒を目の前に渋る名前だったが、やがて諦めたようにそれを受け取った。
『はぁ……分かったよ、呑めば良いんだろ』
「一気にいけよ、一気にぃ〜!」
『はいはい……』
そして名前はぐいっとそれを傾け、一息に呑み干した。
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