『……う、このお酒、強すぎでしょ……』
「よーし、上出来だ!さすが俺の仲間だぜ〜!」
それに満足した新八さんは、豪快に笑いながら席に戻っていく。
直に、左之さんと新八さんは完全に酔い潰れ、いびきをかいて寝てしまった。
しかし……
『総司ぃ〜!もっとお酒ちょうだ〜いっ』
潤んだ瞳で此方を見上げながら、僕の腕を掴む名前。
「名前、そろそろやめた方が良いんじゃない?」
『やだーっ!まだ全然足りな〜い』
………………
お酒が入った名前は、最早誰も手がつけられない。
まるで別人のように……普段の彼女からは想像も出来ない人格が現れるのだ。
「…………名前、」
『うん?……きゃっ』
僕は名前の抱え上げ、隣の部屋へ移動する。
本当はこの部屋、左之さんと新八さんの為に借りていた個室だったんだけど。
『離して〜っ』
ばたばたと暴れる名前の身体は、着物越しでも分かるくらいに熱を帯びていて。
そのまま布団に下ろせば、不服そうに頬を膨らませている。
「名前はあんまりお酒に強くないんだから、今日はもう休んだ方が良いよ?……って、うわっ」
そのまま名前に押し倒された僕は、此方を見下ろす瞳とかち合った。
その瞳は哀しそうに揺れ、わずかに震えている。
僕は、その表情に思わず息を呑んだ。
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