二人乗り自転車

山本は部活。
獄寺は用事があっていない。
つまり今日は二人きりで帰れるのだ。

「綱吉ー!一緒帰ろー!」

「勿論」

「あー、でも自転車取りにいきたい」

ふ、と自転車の事を思い出し

「?瞳、歩いて学校来たよね?」

綱吉は首を傾げる。

「昨日遅刻ギリギリだったから自転車で来たんだ〜。
風紀委員にばれないように近くの友達の家に止めさして貰った」

「そっか。じゃあ取りに行こっか」



「あったあった」

「良かったね」

自転車はすみの方にあった。勝手に止めたから捨てられてないか心配だったんだよねー。

「折角だし乗ってくか。よし、綱吉。こいで」

「なんでだよ。疲れるじゃん」

即答された。

「それにこれ、瞳の自転車でしょ。自分の物は自分で責任取ってよ」

「わー、正論!よし、ここは平等にジャンケンで決めようか。ジャンケン…」

「ポン」



「瞳も馬鹿だよねー。俺の特殊能力忘れたの?」

「そうですね!綱吉様には超直感という素晴らしい能力がありましたわね!」

私はパー。
綱吉はチョキ。
私の敗けだった。

「ちくしょー!あのジャンケンの必勝法はガセネタかよ!って、綱吉!後ろに反り返るのやめてよ!重いよ!バランスが…っ!」

「え、ちょっ!」

私達を乗せていた自転車はバランスを崩して倒れ、私達は川岸の草むらを転がった。

「いってー」

「大丈夫、綱吉ー…ぶっ!」

「何笑ってんの瞳」

「いやー、昔のダメツナだった頃の綱吉思い出して!ぷくくく」

「人の黒歴史引きずりだしてくんのやめろよ。ま、昔の俺なら日常的に転んでたけどな」

「昔って言っても一年前でしょ。いやー、大人になったねー」

昔は、綱吉がこんな大人になるなんて思いもしなかった。
月日が流れるのは早いねー。

私達ももう受験生だし。

「綱吉ー」

「何?」

「こんな日々、何時まで続くかなー?」

ふ、と寂しくなった。
綱吉が変わったように、何時か私達の関係も変わってしまうんじゃないかと。
だから綱吉に聞いた。

「多分変わらないよ」

「何で?」

「俺の超直感がいってる。ずっと一緒だって」

綱吉の答えに思わず笑った。
超直感とは便利なもんだ。

「よし、次は俺が漕ぐ。瞳は運転下手だからな」

さらりと酷いことを言われた。

「よし、綱吉!あの夕日まで走るぞ!」

「自転車だけどね」






「おいこらそこの二人乗り止まれー!」
「うげ、綱吉。風紀委員に見つかった。どうする?」
「自転車の二人乗りは、違反だ!今すぐ止まれ!」
「そりゃどうするって瞳。逃げるしかないだろ」
「明日二人で風紀委員長に怒られようか」








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