終盤戦


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09-1.今夜は悪い夢が見れそうだ



部屋に入るなり、まりあは窓めがけて走り出すものだからナンシーが慌ててそれを止めた。

「……ちょっと! 私の話、聞いてなかったの!?」
「離して! 私の運動神経を持ってしてならうまいこと罠なんか避けてやるぅ!」
「馬鹿! そう都合よく抜けられるトラップがあるわけが……」

 お互い揉み合いになりながら、まりあは窓枠に手をかけた。

「嫌なのよ、この家そのものがッ! ちょっとでいいから外の空気を吸いたいの〜!」
「駄目、駄目ってば! お願いだから大人しく……」

 きいきいと女の子特有の甲高い声で喚き散らすまりあを何とかかんとか食い止めるものの、まりあは手だけを伸ばして指先で窓を押し開けた。

「だからダ……」

 め、と言い終えるか終えないかのうちに背後でガシャン、と何かの落ちる音が響いた。金属の塊が勢い良く落ちてきたみたいな音で、振り向いてみてようやくそれが何なのか認識した。

「こ、これって……」

 ややあってから、まりあがごくんと唾を飲み込んで目を見開く。

「ギロチンの刃かしら」

 やけに冷静に言うナンシーの隣でまりあがぶるっと身震いした。

「……ひどい! じゃあ、私が勢い良く窓から飛び出そうとしたらこれで首チョンパだったわけ?」

 言いながらまりあが、その首元を立てた親指で切るような真似をして見せた。

「――そうね。恐らくは」

 鎖の付いたその重厚な刃には、既に犠牲者の者と思しき血痕の後がべっとりと付着していた。

「どこへ逃げりゃ正解なのよ! 私達を閉じ込める気ね、なんて性格のクソ悪いババアなの」
「……冷静になってみてよ。さっき、車椅子がいたわね」
「思い出しただけで寒気がするわよ、きっしょいミイラだった! 今もこっちに向かってきてるんでしょうね……あ」

 話しながらまりあはナンシーが何を言いたいのかを理解したのだろう。何かの結果に行き着いたような顔をしてナンシーを見つめた。ナンシーが無言で頷いた――「そう」。

「なーんで気づかなかったのかしら!……そうよね、あいつが平然とやってきてるってことはあっちの道には罠が無い可能性が高いわけよね!」
「ええ――急がば回れって奴ね。それに、あいつの車椅子を奪えば無人で走らせて罠が無いか確かめる事も可能よ。……まあ罠の感知センサーが体温だった場合は確かめようがないけど」

 言いながらナンシーは腰を低くしてちら、と扉の影から廊下を覗く。車椅子はのろのろとだがこちらへ向かって今も尚その動きを変えることなく突き進んでいる。




昔の方がホラーってクッソ怖かったのに
今のは怖くないのは何でなのかな。
映像が綺麗なのが逆に怖くないとか
そういう問題だけではないような気がする。
やっぱ我々の目が肥えてきたんだろうか……
女優霊とか今見てもキモイけどなぁ
ラストの一瞬何かいるところだいきらい



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