03-2.少女の祈り
床に手を突きながらナンシーは酸素がまるまる失われたようになっているその身体とは、また別の場所に意識が飛ぶのを覚えた。
それは――ああ、一年ほど前にユウのお母さんに会った日の事だ。握り返したその手が震えていた事をはっきりと覚えている。それから、言った。
『私が……私が絶対にユウを探しだすから』
あの言葉は、嘘だったの? 透子――しっかりするのよ。私は負けない。絶対に、負けていられない――ナンシーが、立ち上がった。辛い顔は絶対に見せないようにしながら。その場を去りかけた有沢だったが、足を止めて振り返った。
「な……」
何だか、打ちひしがれたような表情を見せていた。ナンシーは三戦立ちで構えてから、右手を引いて見せる。
息吹を吸い込んでから、ナンシーが前を見据えた。
「――本気なのか」
「だから……、さっきからそう言ってるでしょう」
ナンシーがふっと短く息を吐きだした。これ以上の馴れ合いはもう不要だと言わんばかりに、ナンシーが有沢を睨みつけた。それで有沢もまだ煮え切らなそうではあったものの、一歩踏み込んだ。
加減はしているのだろうが、それでももらえば重たそうな一撃だった。有沢の出したその拳は彼女の腹部めがけて飛んで来ているのだが――こんな時であるにも関わらず、ナンシーの意識はまた別の記憶へと滑りこんでいた。
あれは、そう……つい数ヶ月ほど前の、近接戦闘での稽古をしていた時。
自分は運動神経がいいわけでもない(どちらかというとトロ子なんて呼ばれるくらいだから音痴な方だと思う)、体力があるわけでもない、柔軟性があるわけでもない。とりたてて打たれ強くもない、むしろ痛いのは大嫌いだ……ある日の稽古で、その焦りからくる思いが爆発したことがあった。
ミツヒロ相手にスパーリングをした時に、攻撃を全部受けて一つも弾き切れず……そして、文字通り手も足も出せなかったのだ。やられ放題とはこの事だ、こちらの攻撃なんか一つも効いていない惨めさに、もう消えてしまいたくなった。
殴られた箇所がじんじんと痛み出し、それで悔しさが一気に涙と一緒に溢れ出て来ていた。蹲ったまま泣きじゃくるナンシーに、ルーシーがしゃがみこんで尋ねかけて来た。
「あらら、透子ちゃん。一体どうしたの? ミツヒロくんに虐められた?」
「……駄目。もう全然駄目。痛いし耐えられない、私なんかやっぱ全然駄目なんだわ。女の身分で強くなるなんて、無理なのよ」
思い起こせば随分とまた女々しいことだ――ナンシーはそう言ってめそめそと泣きじゃくった。
「ミツヒロくん、ちゃんと加減した? 僕いーっつも言ってるよねぇ、白帯の子と子どもと女性には絶対強くするな、もしくは寸止めにしろって」
「そんなに強く当ててねーよ、そもそも受け切れないのが悪いんだろうが」
「……はぁ、後でお仕置きね」
ルーシーが静かにそう言うのを聞いて、ミツヒロが「げっ」と顔をしかめた。ルーシーがしくしくと泣き伏せたままのナンシーの手を持ってそっと起こしてやる。
「ごめんね、受け方の基本をしっかり教えてない僕の責任もある」
「……」
バイオ1久々にやりてーなぁ。
純粋に怖かったよ、1は。
洋館が舞台ってのがホラーくさいよね。
でも何であんな生活しにくい間取りの屋敷に住むのか。
生前に住んでて苦労しなかったのかな。
いやそんな揚げ足取ったら
バイオに限らず民家探索系ホラーゲーはみんなそうだけど。
零とかだったら屋敷そのものが怨念に乗っ取られて
意思を持ったんだよ、的なのありそう。
それはそれでコワE