中盤戦


≫top ≫▼title back

05-1.血まみれ花嫁



 一同がやがて辿り着いたのは、もうすっかりと無人になったデパートだった。

「ひとまず、今晩はここで休憩を取ろう」

 しかし本当なら半日ほどで目的地へ着く筈だったというのに……こんなにも遠回りする事になるとは思いもしなかった。とにかくグッタリとしていて、身体が悲鳴を上げているのが分かる。

 それでいて、がらんとした無人のデパートは、既に空き巣にでもやられたのかところどころガラスが割れてショーケースのものが持ち出された形跡が残っていた。火事場泥棒もいいところだ。

 噴水のあるホール内に足を踏み入れると、割れたガラス片を踏み締める音が響いた。皆逃げ出したせいなのか、無人である筈のショッピングモール内には虚しく店内BGMとアナウンスが流れているのが酷く物悲しかった。

「……あれは……」

 ふと、セラが何かを見つけたらしい。中央の噴水に、少しずつ近づいてゆく。噴水の中に、何かがあった。言うまでもなくそれは人間、なのだが。腕だけが噴水から覗いていて、その腕に何か光るもの……が握られている。

「お、おいセラ。あぶねーぞ」

 創介のその言葉に言われなくとも分かってる、という感じで軽く睨まれた。再びセラは一歩、また一歩と歩きだすと噴水に沈められた格好で腕だけをこちらへと伸ばすその手の前にしゃがんだ。

――鍵か……

 死体の手に握られているのはどこかの鍵であった。

「あっ……」
「?」
「セラ、あぶねえ! 上……っ」

 は、とセラが上へと視線を移す。上の階から、マネキン人形が降ってきたらしい。事故で落ちたと言うよりはこちらへ向かって思い切り投げつけたかのような勢いを伴って。……動けずにいるセラはとりあえずどうするべきなのかを考える……。

 逃げろ、と自身の身体に言いきかせた時にはもう遅かった。ウィッグをはぎ取られ、すっかり頭皮のない女性型のマネキンはもうすぐ眼前にまで迫っていた――もう駄目だ、と目を閉じたすぐその瞬間。

「――……!?」
「平気か?」

 うっすらと目を開けると、有沢がいた。

 有沢は手にしていた刀を鞘に収めながら、静かな声で問い掛けて来た。そして周りには一刀両断に、胴体から真っ二つにされたマネキンが転がっている。どうやら間一髪、だったらしい。

「あ、ああ……」
「立てるか?」

 手を差し出されて、その手を取った。セラがおずおずと立ち上がる。

「すまない、ドジった。……その、ありがとう」

 いや、と有沢が言葉少なに告げてから首を横に振った。

「……礼には及ばない」

 寄り添う二人は何だかまるで王子とお姫様……にしてはいささか服装や醸し出される雰囲気が貧乏チックではあったがまあとにかく、絵になるのだ。もっと言うとよく似合いに見えた。

――あれ〜……?

 何となく複雑な気になったが、創介はいいや気のせいだと自身に沸き上がるその疑問を打ち消した。そしてその横では、どす黒いオーラをぶすぶすと放つ雛木がいた。が、そんな事気付く筈も無く次なる刺客が現れる。

「ゆっくりしている暇はなさそうだぞ……」

 有沢が腰を低く沈めると、再び刀の柄を握り締めた。セラも不動立ちで構え、すぐさま戦闘態勢を取る。

 今しがたマネキンを振り落とした張本人なんであろうゾンビがゲラゲラと笑っている――その身なりは一体何で、と言いたくなるがウェディングドレスを纏っていた。





未解決じゃなくてちゃんと解決した
事件でもコエエーのはいくつかあるよね。
北九州の監禁のやつとかさ。
あんな事、ほんとに可能なの……マジで
人間の所業じゃねえぞ。
家族同士で殺し合わせるとか。
人物相関図見るだけで怖すぎて吐きそうw
あとは母子殺害でお母さんを死姦して
赤ちゃん殺して押し入れに入れて
「ドラえもんが生き返らせてくれると…」とか
証言してる基地外もな。
サカキバラ以降変な事件が急に増えた気がします。



×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -