中盤戦


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06-4.999999



 まあいいや、と創介がライトを再び掲げ直した。

「しっかし」

 言い置いて創介がマネキンの群れを照らした。……下から照らし出すと顔だけが暗闇にぼんやりと浮かび上がり、実に不気味だ。昼間に見ても結構ビクッとするのにそれは尚更だった。

 何か言おうとしても余計に恐怖感を煽るような言葉しか見当たらず、創介は口籠ってから答えた。極力不気味だとか怖いだとかの言葉を控えるようにしながら。

「何つーかこうリアルだな、マネキンの顔って」
「そうか?」

 凛太郎がすかさず答えた。

「おーよ。見ろよ、睫毛の質感とか、肌とかさぁ。気持ち悪くなってくるもん。何でもリアルにしすぎるのってよくねえと思うなあ……ほら! こいつとかもう、」
「――馬鹿! 創介、離れろ!」

 言いながら創介がマネキンの顔に手を伸ばした。途端、マネキンの目がぎょろりと動いた。

「うおぁああああっ!?!?」

 慌てて手を引っ込めるがその手首を掴まれた。

「ちくしょう、どうなってんだー! 民事じゃ済まさねえ〜!!」

 創介が大絶叫する。言わずもがな、ゾンビがマネキンに紛れていただけの話だがまさかそんなずる賢い事をする奴がいるなんて……昼間ならすぐに分かったが、この暗闇の中では瞬時に判別がつかない。

「創介、頭下げて……」

 セラがゾンビを撃とうと構えを取るが、創介は果敢にも立ち向かおうとしている。

「こんのっ」

 溜めこんだ息を一気に吐き出して、創介が肘打ちを繰り出した。齧りつこうとするゾンビの顎に見事に入り、大口を開けていたゾンビは反動か思い切り舌を噛んでいる。

 腐っているせいだからか、脆いのか……噛み締めたのであろう舌から血がぶしゅっと出るのが見えた。

「畜生、噛まれてたまるかってーんだ! あほ、ばか、うんこったれ!」

 それで隙が出来て、創介は掴まれたその腕を必死で振りほどく。ゾンビがマネキンの群れの中にドッと転がり込む。派手な音を響かせて、マネキン達が次々と倒れた。

「創介くん。よくやった。後は下がって」

 ミミューの言う通りに創介は後は任せたと言わんばかりに慌ててその場から後退する。

「っと! セーフセーフ……」
「ばっか、お前ヒヤヒヤさせんなよ。やるなイケメンの癖して、さっきのダサイ発言は撤回してやる」

 凛太郎がからかうように言うと創介は返事代わりに軽く右手を上げた。ミミューの発砲したショットガンが、マネキンの中のゾンビを撃ち抜いたようだった。バラバラになったマネキンの破片と、ゾンビの脳漿が一度にごちゃ混ぜになって弾け飛ぶのがこちらからでもはっきりと見えた。

「……こういう事もあるので、気を付けましょうね」

 ポンプを動作させ、空薬莢を排出させながらミミューが軽く笑った。その後ろで、セラはちょっとだけ驚いて肩を竦めていた。驚いた、という表現が正しいのかどうか分からないがとにかく――セラは未だ銃口を向けたまま停止していた自分に気がついて、はっとそれを降ろした。

 凛太郎と一真に左右から支えられながら起き上がる創介を見つめた。

「はっはっは、何ともねえ〜。何ともねえ! あー、びっくりした」
「正直あのまま噛まれると思ったよ。ここでお前ともお別れかー……とちょっと期待したってのに」

 そう言って毒を吐くのはやはり凛太郎で、しかしその顔にはうっすらと意地の悪い笑顔が浮かんでいる。

「――中々かっこよかったわよ、あんた」

 ナンシーが通り過ぎ際にちょっと呟いたので創介も調子に乗ったように笑顔を浮かべた。頭を下げながら「あざーす」とかなんとか言ってる。

「……」

 セラが無言のまま、その様子を見つめた。

「――セラ?」

 背後から声をかけるのは有沢だった。それでまたハっとして、セラが顔を上げた。

「え? あ、うん。何?」
「いや。……ぼうっとしてたから」

 その指摘にセラは、表情こそそんなに変わらないものの何となく焦っているのが分かった。取り繕うように、必死になって答えた。

「そ、そんな事は――ない、よ……」

 しかしそれはまるっきり嘘になるのだが、有沢は何も言わなかった。



映画に出てくるおじいちゃんや
おばあちゃんキャラに弱いせいで
年寄りが虐げられるのきらい
そんな私が今年最大にうけた映画は
ロンドンゾンビ紀行だ!!!!
のろい年寄りが同じくのろいゾンビから
逃げるシーンで大爆笑し、
ジーさん共がマシンガンぶっぱなし
孫の若者達が唖然とする、そんな映画だ。
うざい奴は早々に死に、いい人たちが
生き残るのもポイント高い。
って書くと何か歪んでる気もするけど。

後味すっきり爽快なゾンビ映画です。
とっつきやすいのでお勧め。



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