08-3.愛なんてちょーつまんないです
実にいじらしい泣き顔のまま、亜里沙は続けた。
「あと、リューちゃんの貯金勝手に使っちゃったの。でもほんの三十万程だから。百万あったうちのほんの三十万だから。半分も手つけてないから」
「は」
おい。今、なんてった。
物凄く早口だったのでよく聞きとれなかった。しょっぱい顔をしている隆祐に、亜里沙はその手を更に更に強く握りしめながら続けた。
「それとこの前の同窓会、何も無かったっていったけどゴメン。元彼と席一緒になっちゃってさ、何となく流れでそのままパーティー抜けてホテル行ってエッチしちゃったの。あ、うん、エッチっていうか口で」
「……は?」
「更に懺悔するとね、リューちゃんの気に入ってた金のネックレス質屋入れちゃったの。無くなったのソレ私のせいだ、ごめんね。だって今金って高いしさ、それに言っちゃ悪いと思って黙ってたけどあのネックレスだっさいよ? ハッキリ言って。リューちゃんすんごい気に入ってたっぽいけど何あの時代遅れのヤンキーかチンピラみたいなの。やめとくべきだと思うのねー、うん」
「や、あ、あの」
脳内CPUの処理速度が追いつかない。このままじゃあ、処理落ちする勢いだ。
何? 何て言ったんだ。この女。
「あーとーは……、うん、そうだ。リューちゃんのコレクションしてたDVDもCDも全部売ったよ。だってキモイんだもん、アイドルオタクとかさ。つかさ、いらないよね? どうせこんな世の中になっちゃったんだし」
「は……、は……」
「全部で二万くらいになったよ。思ったより安っ、て」
やがて四方からうーうーと呻り声が聞こえ始めた。
死者たちの群れに再度囲まれたのだ、口から内臓をボトボトと吐きだしながら歩いてくる若い女のゾンビに、頭にネクタイを巻いた今時見た事も無い酔っ払いコスチュームのゾンビは寿司の代わりに脊髄ごと引っこ抜かれた誰かの生首をぶら下げ、ホスト風のチャラいゾンビはソーセージのような腸がでろーんとぶら下がっているし、女子高生ゾンビは首の骨でも折れたのかおかしな方向に首が曲がっていた。
「きゃああ!?」
亜里沙が叫びながら隆祐にしがみついた。
「隆祐ぇっ……」
脳味噌まで腐っているとは思い難い見事な陣形で、ゾンビ集団が二人を取り囲んだ。隆祐がオートマチックの拳銃を持ち出すと手早くそれを構えた。
「助けて!」
「ああ……すぐに助けてやるよ、亜里沙」
怯え縋る亜里沙のこめかみに、拳銃の冷たい感覚が押し当てられていた。
「へ?」
「……さっさと死ねよ、このクソビッチッッ!」
初めての弾丸が撃ち抜いたのはゾンビでも、噛まれて感染した者でもなく、ついさっきまでは一番に愛しい、守りたいと感じていた筈の恋人だった。
亜里沙はきっと、何が起きたのかよく把握し切れていないうちに逝ったらしい。合掌――隆祐は白煙の立ち昇る銃口を下げた。笑った。
「はは……うひひ……うひゃはははは! あーーーっはっはははは! はーーー!」
笑うしかなかった。気付けば背後の窓が割れ、大量の手が飛び出していた。背後からも前方からもがっしりとその多種多様の腕に掴まれて、隆祐の身体が宙に浮かんだ。かと思うと、左右からも上下からも引っ張られた。いやいや、引っ張られた? 引き千切られていた。
「あっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ! ひゃーははははは、はぐ、おごぇえええっ、……」
腕が、脚が、首が、胴体が。無残にも毟り取られて行くその様がシルエットとなって映し出されていた。残虐なその影絵と共に、真っ白な壁に鮮血が飛び散った。
愛なんて、くだらねーです。終末。
夢小説が嫌いな友人が、
その理由について話していたんだけどその理由が
「だって原作にいない素人の考えたキャラが
我が物顔で介入してくるのって変じゃない?
誰なんだって感じじゃん、ローラとかさぁ」と言ってて
理由自体はシンプルなんだけど例えとして持ち出された
ローラとかいう謎キャラの名前にツボってお茶吹いた私。
本当に誰だよローラwwwww
何でよりにもよってローラさんが出てきたのwww
西城秀樹か(そっちかよ!)