中盤戦


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06-3.葬って後は口を噤め



 何だ、と窓を開けて創介が外を覗き見ると真っ先に飛び込んできた光景はこの有様を何とかかんとかして整備をしているお兄さんの困り果てたような顔だ。

 お兄さんは警察官や消防団といった雰囲気があまりなく、もしかしたらこの未曾有の事態にあまりにも手が足りなさ過ぎて連れて来られたボランティアや自警団の青年……といった感じなのかもしれない。遠慮なくそんな彼に絡んでいるのは、剃り込みの入った坊主頭がもういかにもガラの悪そうな男である。

 身を乗り出す創介の下から、凛太郎が邪魔そうに顔を持ち上げた。

「何? 何か見えんの?」
「んー……よく分からんけど揉めてるっぽいな。絵に描いたようなチンピラ野郎が整備の兄ちゃんに絡んでるよ。すっげえ〜、剃り込み入ってら。うわこっわー」
「それ、行き止まりだったから怒ってるんじゃないかなあ。多分だけどね」

 運転中のミミューが自分も引き返そうとバックギアに手をやるのだが、途端創介の悲鳴に阻止された。

「あぁッ! あの怖い人、整備の兄ちゃんを殴ってる! あれはいかんでしょ流石に!」
「ええっ?」

 言われた通り見てみると、確かに……チンピラの方が一方的に因縁でも吹っ掛けたのだろう。ガラの悪そうなチンピラが無害そうなお兄さんの鳩尾めがけてパンチを食らわせているのが見えた。

 腹にグーパンチをもらったお兄さんは鳩尾を押さえたままでその場に蹲っている。それで激しく咳き込んでいるみたいだった。対応のぎこちなさもそうだが、やっぱりこのお兄さんは非常事態に半ば無理やりに引っ張ってこられた民間人なんであろう。

 地に手を突くお兄さんへと向かってチンピラは尚も執拗に蹴りを食らわせている。ついでに何か罵詈雑言も浴びせているみたいなのだが、それはこちらにまでは聞こえない。

「な、なんつー奴だ! けーさつ二十四時だろあんなもん!」
「止めに行くかい?」
「勿論! そんくらいの時間はいいだろ、セラ?」

 セラは不承不承に、という風にではあったが一応頷いてくれた。創介が威勢よく飛び出すと次いでミミューも出てきてくれた。更にセラまでちゃっかり引っ付いてきてくれたので、まあ何だかんだで面倒見のいい奴なんだろうと思っておく事にした。

「こんだけ列つかせといて通行止めとかマジないっしょー、おにいさーん」
「そ、そんな事言われましても……ゲホッ」
「詫びる気持ちとかあるならさあ、通してよ。ここ。俺達ぃ、早くこの街出たいのよね〜? この状況だよぉ? 助け合いってのが基本なんじゃないんですかー」
「……し、しかしここはまだ交通整備が……」

 そしてごねる二人の間に割って入ったのは創介達と、もう一人いた。
 それは一人の女で、このチンピラの彼女若しくは嫁さんだろうか? 中々にスタイルの良い、だがしかし気の強そうな女性だ。

「アンタさー、何モメてんだよ。車に座りっぱなしであたしゃそろそろエコノミー症候群だわね」
「あ〜、ごめんごめん。何か聞き分け悪いっつうかもう強情っ張りでさぁ……って、何だお前ら?」

 不機嫌そうに現れたその女性と、創介達の一行を見比べながらチンピラが不愉快げに顔を歪めた。

「何見てんスか? ニーさんら。何か文句あるっすかね?」

 上目遣い気味に近づいてくるチンピラに早くも引け腰なのは創介である……。

――うっわ、マジこぇえ!!

 剃り込みのラインが入った坊主頭に、上下ともに白いジャージ。ジャージの下は、この寒いのに黒いタンクトップであった。そのだらしなく着崩したジャージのは、多分わざとだろう。そこから覗く中々に筋骨隆々の二の腕は刺青(……本物だろう)が見事に入っている。

 外見の恐ろしさに拍車をかけるように瞼の上にはピアスがいくつかついていて、よく見たら鼻と唇にも及んでいる。ピアスの下に光る鋭いその目つきは獰猛な爬虫類を思わせた……。





しつこく石田彰さんについての話を続けたいのだが、
彼はあんなに美声なのに音痴というのもいいよね。
テニスの王子様で石田氏は観月はじめという
役を演じていますがこの観月さん、歌が上手だという
石田さん本人の歌声を知っている人からすると
驚きを隠しえないであろうムチャブリな設定があった。
その上テニスの乙女ゲーでは観月さん、
クリスマスに賛美歌の独唱をしているというエピソードがあった。
そしてその歌声を聞いた主人公が
「天使の歌声でした」とか言って褒めてあげるんだけど
スタッフぐう畜すぎるだろコレ!!!



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