▼人形劇場




孤独な少年がいました。

彼はとても不器用でした。

ハサミで紙を真っ直ぐに切るのも出来ない、折り紙も折れない。

とにかく細かいこととかが出来ない少年でした。

家族のいない少年は寂しくて、寂しくてしょうがないので人形を創ることにしました。

不器用なのに人形にした少年。

その時は単なる気まぐれとしかいいようがありません。

もしかしたら、自分に才能があると薄々気がついていたのかもしれません。

不思議な感情に引っ張られ、人形を見よう見真似で創ってみました。

最初の彼女の名前は『スイ』。

二番目の彼は『バグ』。

三番目の彼女は『ルク』。

他にも色々な人形(お友達)を創りました。

でも、彼は満たされません。

だって、誰も話しかけてくれないじゃないか。

ただの人形じゃないか。

彼は絶望し、そして取り憑かれたように人形を創り始めます。

ココロを持った人形を創ろうとして。

何年経ったのでしょうか。

ココロを持った人形は出来ません。

でも、今まで彼が創った人形は評判がよく、いつしか天才と呼ばれるほどになりました。

不器用な彼はそれでも満たされず、人形を創ります。

ある日のことです。

何が起こったのでしょうか。

二つの人形が動き出したのです。

音を話したのです。

彼は泣きました。

今まで泣くことなんて無かったのに、大粒の涙を流して泣きました。

二人は『蓮葉』と『大和』と名付けられ、彼の家族になりました。



動く人形(君達)と寂しがりやの人間(僕)


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