一夜のアバンチュール
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ある日の朝、見慣れない天井をぼーっとした頭で見る。
ふと隣から寝息が聞こえギョッとした。
『……っ!?(ここどこ!?)』
「ん、あ…。起きた?おはよう。」
『へ?』
男が彼女を抱き寄せ、突然の事に声が出ない。
「……あれ?夕べの事、覚えてない?」
『……………まさか!?』
「ん?そう、そのまさか!とりあえず服着ようか。」
『え!?いやああああ!!』
バカでっかい声を響かせ、名前は枕を彼に投げつけシーツを手繰り寄せた。
「うおっ!?」
『それ、早く言って下さいよ!!』
「そんなに隠すことじゃ…。」
『はぁ!?意味わかんないんだけど!』
シーツから顔だけだして怒る彼女に苦笑したお相手名前は頭をかく。
『て、いうかあなた誰ですか?』
「やっぱり覚えてないのか、お相手名字お相手名前。昨日、バーで会ったんだよ。」
『バーで?』
「うん、そう。愛してるよ、名前。」
にっこり笑い、微笑んで名前の唇には暖かい感触が伝わる。
目を見開いて名前は驚き、彼はシーツを剥がそうと手を伸ばす。
『ダメ!』
「どうして?」
『一体、どういう事ですか。こんなの有り得ない、絶対に!!』
「否定するのは何故?現実に今、この状況だよ。思い出させてあげるわ(笑)」
『………え!?』
男ぽかった彼が突然に女性のように振る舞い名前は目を見開いた。
それは昨日の夜の事、失恋の痛手を負い一人旅に出かけた彼女はホテルのバーでの事。