橋と階段(1/25)
ある日、何でも屋こと事務所兼自宅で名前と朱鷺(とき)、事務を担当している成田明日香(なりたあすか)は棚を整理している。いらない物といる物を分ける為、明日香は見たことがないアルバムを手にした。
「あれ〜?なんですか、この箱とアルバム?」
「あ〜ぁ、それは俺達が大切にしている宝箱と警察にいたころのやつだな。」
「警察官だったんですか!?」
何でも屋に勤めるようになってまだ日が経ってない明日香には初耳だ。
『えぇ、2〜3年位前までね。』
「へぇ〜!でも、せっかく警察官になれたのにどうしてやめて何でも屋になったんですか?もったいないですよ!!」
「何でって話してもいいが…、長くなるぜ?」
めんどくさがりな朱鷺はあまり話したがらないし、話すということは自分達に起こった事を話さなければならなくなる。もちろん名前も同じだが明日香は聞きたくてしょうがない。
「長くてもいいですよ!!作業しながら話して下さい。」
「ん〜?どうする?」
『そうね、私はいいわよ?」
名前がいいと言ったことで朱鷺が口を開く。
「俺達が警察をやめてこの事業やりはじめたきっかけは…。」
寒く秋の風が吹く頃のこと。
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