プロトタイプよりもシリアス度高め? 12月クリスマスイベント合わせでしたがイベント開催中止で1月インテになった本。 クリスマスに出す予定だったのでクリスマス話なのです。 本文でルビが振っているものがサンプルではなかったりするので、 ところにより「アレ?」みたいなところがあるかもしれません。 幻想遊戯ガチャガチャin青峰 WCに出場している身として黒子にクリスマスなどない。クリスマス前日もまたない。 人によって家でケーキを食べていたとしても気にしないが自分には無縁だと思っていた。そんなことより目の前の試合。早急に克服しないといけない課題がある。 「……単刀直入に言います、青峰君。ボクにシュートを教えてください」 「……あん?」 眉を寄せる青峰に当然だと思った。昔ならいざ知らず、別々の高校に進んで昨日敵として戦ったばかりだ。 だというのに何だかんだ言いながら付き合ってくれる青峰は青峰なのだ。昔と変わらない。光と影、そんなもの以前の話、第四体育館でのこと。 一人でずっと残って練習をしていた黒子に出来た友人。 幽霊扱いされているのは知っていた。 それでも一軍にならなければ試合に出ることなど出来ない。強豪校の選手の層は厚い。人一倍頑張らないといけない。そんな風に思っていた。けれど一人で居残ることよりも二人で居残ることの方が楽しかった。 『いつか一緒のコートに立とうぜ、テツ!』 その言葉が本気なのは当然分かる。 分かるからこそ青峰の笑顔は眩しかった。 心のどこかで無理だと思っていたからこそ黒子は眩しさが痛かった。バスケは好きだったが一緒に練習をし続けていれば青峰との才能の差がよく分かる。二軍にも上がれずこのままならいっそのこと辞めてしまった方がいい。 『チームに必要ない選手なんていねーよ』 真っ直ぐな瞳が、向けられる優しさが、痛くて嬉しくてどうしようもなく切なかった。下手の横好きで続けられるほどバスケは甘くない。理想論だけではどうにもならない。 一度、桐皇学園に負けた時に思い知らされた。 力がない言葉では心に届くことはできない。 青峰を負かしたからといって昔と同じ関係に戻ることは出来ないかもしれない。けれど、青峰を倒さなければ黒子が先に進むことはない。あの時からずっと止まってしまっている場所がある。置き去りにされた心。 「バスケが早くしたくてしょーがねー」 この言葉を聞くためだけの今までだとは言わないけれどずっと聞きたくて頑張ってこれたのは間違いなくこのためだ。気まずげな顔すらも愛しくて言わずにいたことを伝えたくなってくる。それは中学の頃に言いたくて言えなかったこと。言わなかったことかもしれない。 友達として傍に居ることが嬉しかった。 一緒にバスケの練習をしてくれたこと、バスケ部を辞めるなと言ってくれたこと。どんな言葉も全部あの頃の思い出は宝物だった。温かく優しくてけれど思い返すと痛みが走る。そんな切なさの理由は簡単だ。 コートに立つ約束をしていながら結局は別々の場所に落ち着くことになった今の二人の状況。皮肉でしかない。 第四体育館で二人で練習していた日々と比べて帝光バスケットボール部で一軍になりベンチに入ってからの時間は一瞬で過ぎ去った気がする。楽しい時間はすぐに終わる。遠ざかった過去の記憶は美化される。苦しくもあった悲しくもあった。それ以上に無力な自分が黒子は悲しかった。 ちゃんと伝えられる言葉がなかった以前とは違う。 今は青峰とちゃんと向き合えている。昔と同じ場所にいるわけではなかったとしても、これで充分だ。 「青峰君、伝えたいことがあります」 一頻りシュート練習をした後に黒子は青峰に切り出した。 今更なんだと言いたそうな青峰に黒子は片隅に置いていた袋を渡す。 中を見て青峰は「あん?」もっと理解できないといった顔になる。そうかもしれない。黒子の呼び出しに青峰が応じてくれたそれだけで嬉しかった。 「あれか? クリスマスだからか? 三つあるのは」 「桃井さんも一緒だと思ったので」 カッとケーキが三つ。 外は寒く保冷剤もつけてあったので放って置いていいかと思ったが青峰の手の中を覗き込めば少しクリームがヘタっている気もする。それは持ち運びのせいかもしれない。 「テツ?」 「青峰君、お誕生日おめでとうございます」 「はあ? お前、今いつだと思ってんだ。オレの誕生日は」 「知ってます。過ぎてます、とっくに」 「じゃあ……なんだって」 「言いたかったんです。どうしても。……それだけです」 「テツ、オレが来なかったらこのケーキどうするつもりだったんだ」 「青峰君は来てくれました。……休憩にして食べましょう」 「っとに、テツは変にマイペースだよな」 買った時につけてくれたおしぼりとプラスチックのフォークを渡す。青峰の手には小さすぎるフォークは玩具のようだ。何か飲み物が欲しいと思ったが生憎と用意していない。 「サンタクロースの飾りでもありゃあいいのにな」 「青峰君、意外にかわいいですね」 ショートケーキを見つめながら口にする青峰がおかしかった。バースディプレートでもつけてあげれば良かった。 「今回のお礼にテツがサンタの格好してくれてもいいぞ」 意趣返しなのか笑いながら言われた。 「ミニスカでも履きましょうか」 女性のかわいいサンタクロース姿の格好の黒子を想像して気分でも悪くしたのか青峰は噴き出した。 「テツは本当、訳分かんねえな」 「すみません、紅茶でも買ってきましょうか」 「いい。……なあ、テツ」 立ち上がりかける黒子を青峰は引き寄せた。 「イチゴ、食うか」 何か重大な話でもするのかと思えばフォークに刺さった苺を顔の前に持って来られた。 「ありがとうございます」 瑞々しい苺はとても甘く感じられた。 「鍋に入ってたのとはまた味が違いますね」 「鍋にイチゴ入れんのか?」 「バナナとか……。悪くなかったです。倒れましたが」 「大丈夫なのかよ。明日、試合だろ」 「平気です。誠凛はそんなに柔じゃありません」 「誠凛って、……みんな食って倒れたのかよ」 「ウチのカントクは桃井さんと似てます」 「作らせるなよ」 「サプリメントさえなかったら今回の鍋は問題なかったはずです」 どういう料理だったのか想像できたのか青峰の表情が暗くなる。「さつきよりひでーんじゃねえの」と聞こえてきたのをカントクの名誉のために否定する。 「いえ、カントクは進歩しています」 桃井に対して失礼ではあったが料理の下手さを自覚しているかしていないかは大きな違いだ。 「不味さは遅れてやってきます」 「遅行性とか逆に危ねえだろ」 「良い夢が見れますよ」 疲れたように息を吐きながら「そうかよ」と口にすると青峰はまた遠い目をする。 「誠凛、楽しいか……」 黒子に対して聞いているというよりも独り言に近い呟き。 否定して欲しがっているような青峰の顔の前にフォークに突き刺した栗を差し出す。黒子が買ったケーキはショートケーキとチョコレートケーキとモンブランだ。 「イチゴ貰いましたからお返しに、どうぞ」 「いいよ」 「食べてください」 「なんでだよ」 そう言いながら結局、口を開けて甘く煮てある栗を食べる青峰に黒子は微笑む。 「……青峰君って押しに弱いですね」 「んなことねえよ」 照れたような反応に黒子の方がくすぐったい気持ちになった。昔のままではいられないなら新しい関係に変わりたい。 あの頃に戻って欲しいなんておこがましくて本人に言えるはずもない。けれど確かに黒子は願っていた。ずっとずっとあの日々に戻りたかった。未来へと歩み出しながら過去にしがみついているという矛盾。 「テツにだけだろ」 言われた言葉がよく分からない。 「テツなら別にいいってか……。なんでだろうな」 頭をガリガリと引っ掻いて残っていたケーキをかきこむように乱暴に口の中に入れる青峰に黒子はどんな気持ちになればいいのかよく分からない。 「青峰君、好きです。友達としてじゃなくて恋愛とかそういう意味で、ずっと好きでした」 「でしたって、過去形かよ」 「迷惑じゃないですか?」 「昔はそうでしたって言われる方が迷惑だ」 声は不機嫌さもなく穏やか。耳元が赤くなっているのが見える。「笑ってんじゃねえ」と怒られたがニヤける顔を引き締められない。思いっきり反らした青峰の顔を黒子は自分の方へ向けさせる。視線が彷徨った後に合わさった。 「今も好きですよ」 これは、ただそれだけの為の奇跡。 「ずっと好きなままです」 これは、ただそれだけの為の軌跡。 シークレット、シークレット。中に入っている物は秘密。 けれど、内緒の気持ちは時を置いて開け放たれる。 桐皇学園に112対55で負けたその二日後。 変わったものは目を惹く。 黒子も年相応に奇妙なものにはつい手を出したくなる。 結局IHには行けなかった。そのせいなのか無駄遣いをしたくなった。気晴らしもしたくなる。鬱屈とした気持ちを吐き出したい。気まぐれは面白い。帝光中学でバスケットボール部に黒子が入部したのも気まぐれだ。テレビで見て憧れたバスケットプレイヤーに自分がなれるとまでは黒子も思っていない。それでも挑戦したかったのだ。 視線誘導という武器を使って異端の選手としてバスケを続けていたのも大きな括りで言えば気まぐれだ。 強い意志は確かにあったが意味があったのかは今では分からない。負けて得るものもあるかもしれないが黒子には失うものばかりだった。意気込めば意気込むほどに空回りするのだ。 目の前にあるシークレット・カプセルトイ。 中身が不明のカプセル。 お金を入れてレバ―を捻ったらカプセルに入った何かが出てくる。それはスライムだったりストラップだったり使えない小物だったりと色々だ。アニメや漫画のキャラクターグッズだったりもするかもしれない。 複数の種類がある中の何が出てくるのかは完全にランダムだが大概、カプセルが入っている機械にどんなものが入っているのか簡単な広告がついてる。 黒子が気になったそれにあったのは疑問符だけだった。 ――中身が完全シークレット。 売れ残ったカプセルを集めて一つにしてしまう在庫処分方法だろうか。いろいろなジャンルがごちゃ混ぜで本来は五百円以上するものも百円のお値打ち価格での提供。 出てきたものがゴミになったとしても百円なら試してみたくなる。負け続けた気持ちを勝たせたくなる。良いものが出てきたら心が慰められる気がした。黒子はカプセルを手に入れるために百円玉を入れて機械を回す。ガチャっと回る音が少し懐かしい。最後に使ったのはいつだったか思い出そうとして自分が年をとった気がした。 そんな昔のことでもないのに不思議だ。 小学生の自分が何を考えていたのかすぐには思い出せない。中学生の時の自分の考えは未だに解き明かせない。 胸にある引っ掛かりは痛くて笑って思い出に出来る程黒子は強くない。けれど向き合うことを恐れる程弱くもない。 シークレットカプセルトイ。 これを逃せば手に入らない。 黒子におたく趣味はなかったが日向が集めている武将のフィギュアはカプセルの中に入っていることもあるらしい。 お世話になっているので手に入ったら渡そうと思っていた。仮にすでに持っていてダブってしまったとしても嫌な顔はしないだろう。 広告には疑問符の他に気になる煽り文句があった。 『あなたの現在過去未来の彼氏が大集合☆』 在庫として余ったものを捌かないといけないとはいえ「彼氏」の需要はあるのだろうか。女性が好きそうには見えない。だから、残ってしまったのかもしれない。 そんなことを思いながら黒子は手の中にある青いカプセルの中身を空けてみようとする。 透明部分が曇っていて開けるまで中が分からないようになっている。シークレット過ぎる。 カプセルに力を込めてそして黒子は諦めた。 開かなかったのだ。非力だったというより力の掛け方だ。 「青峰君だったら……」 こういったカプセルに手を出したのがいつが最後だったのか思い出した。中学の時だ。 青峰と一緒に帰るその道で何が入っていたのか忘れたが黒子はカプセルを手に入れた。そして開けることが出来なかった。青峰は笑いながら「こうやんだよ」と簡単に開けてくれた。その時は力の差を見せつけられるようで悔しかったがすぐにどうでもよくなった。青峰が黒子にコツを教えてくれたからだ。いつもそうだ。蝉を取る時も青峰は得意げに黒子にレクチャーしてくれる。 自慢しているのではない。同じ場所に立ちたいのだ。出し惜しみなどすることもなく差し伸ばしてくれる手がある。 一緒に出来るように自分の知っていることを不器用ながら伝えてくれる。練習に付き合ってくれていた青峰が一切黒子を下に見なかったことに正直言って感動していた。 バスケに向かない体格で無駄なことをしているとそう思われても仕方がなかったのに青峰は馬鹿になどしなかった。 それはとても嬉しくて心地よく、けれど青峰に認められる自分であるようになれない歯痒さもあった。どうしても上手くいかない。 「力任せじゃなくて手のひらに力を込めると良いんでしたっけ?」 カプセルを手のひらの中で回すようにすると簡単に開くのだと青峰に教えてもらっていた。使っていない知識はすぐに忘れてしまう。 『同じってことは成長してねえってことじゃねぇか』 心に突き刺さった言葉は痛くてけれど事実だ。 黒子のバスケのやり方など黒子は持ち合わせていない。 少ししんみりとした気持ちになってカプセルを開けることなく黒子は持ち帰った。青峰の言葉は痛かったし苦しかったが事実は事実として受け入れるしかない。 転機というのは待っていても訪れはしない。 自分で切り開かないとならないのだ。 それが何より難しいと知っている。 だからこそ、前を目指して歩いていく。 挫けて膝を折ればそこで終わりと知っている。 けれど、目の前にある壁の全てが乗り越えられるものであるとどうして言えるのだろうか。 家に帰って青いカプセルを見つめる。 透明なはずの場所は曇っていて分からない。見えない自分の心に似ているなんて思ってみて溜め息を吐く。 疲れているのだろう、きっと。 休むことも必要なのかもしれない。 それは逃げとは違うと思いたかったがどこか似ている。 手の中で弄っていればカプセルはいつの間にか開いていた。開けようと思った時は開かなかったのに勝手なものだ。 色んなものがそんな風に空回っているのかもしれない。 ピースが噛み合えばするっと解ける。 目の前にある不可思議な存在に悩みは一瞬で吹き飛んだ。 「テツ?」 「あお、みねくん?」 そんな馬鹿な、と口に出そうになって黒子は押し留める。 「テツだよな、うん」 ペタペタと黒子の頬に触れる青峰に目を白黒させながら現実についていけない。質量のある幻。そんなもの存在するのだろうか。開いたカプセルを見れば中身は空だった。空というよりはこれが入っていたのではないだろうか。 これは一体何者なのだろう。青峰の姿をしていたが先日、会った時よりも空気がやわらかい。 まるで昔のようだ。刺々しい所などどこにもなくカラッと晴れた夏の空。澄み切った青の気配。 「ッ……、……んん」 こんなことあるはずないと思っていてもどうしようもない。現実だ。身体が動かない。苦しい。息が出来ない。 「あ……おみね、くん」 黒子が酸欠で気を失いかけてやっと『青峰』の唇は離れた。これはそもそも青峰なのだろうか。疑念が顔に出たのか「どうした、テツ」と顔を覗き込まれた。 誤魔化すように咳をすれば発作のように黒子は咳き込んでしまう。息を整わせる黒子の背中を撫でる青峰。 これは何なんだ。 青峰が自分にいきなりキスをしてくることが黒子には理解できない。いや、青いカプセルを開けたら出てきた目の前のモノは本当に青峰なのか。 何があったのか。どういうことなのか。 黒子の表情はあまり変わらなかったが青峰は黒子の戸惑いが伝わったようで安心させるように微笑んでくれた。 「テツが嫌ならこれ以上はやらねぇよ」 そういうことじゃない。黒子が気になっているのはそこではなく目の前の青峰の存在自体だ。 笑いかけてくる姿も声も黒子の記憶にある青峰とそのままで切なくなる。一緒に部活後に練習をしていたような、楽しくコートの中で笑い合っていた頃の、帝光時代の青峰。 そう思えば雰囲気以外にも違いが見えてくる。 昔から青峰は黒子よりも大きかったが前日対戦した青峰と比べれば、いま目の前にいる青峰はまだ小柄に見える。 大した違いではないかもしれないが差は確かにあった。 「っ、あおみ、……」 「ヤっていいか?」 これは夢なのだろうか。 青峰に首筋を舐められながら股間を触られる。 下着の中に入った指先が黒子の先端を撫でた。 止めるべきなのに身体が動かない。 頭が働かない言い訳を探そうとすればするほどに心は追い詰められていく。中学の時の青峰にすら当然のように体格で負けている自分が悔しいのに嬉しい。自分の気持ちが分からない。心臓が痛いぐらいに高鳴って喉が渇いて仕方がない。逃げ出したいのに動けない。触れられるのを待っている自分が黒子は信じられなかった。夢ならそれでいいとそんな風に思って青峰を利用するのは不義理な気がした。 これからどうなるのか分かり切っている。 「テツかわいい」 楽しげに耳を噛まれた。背筋を掛け上げるもの。 電流のように身体を流れる痺れる感覚。 青峰の勃ったモノが黒子の腿に擦りつけられる。 興奮しているのが分かる。 それが気持ち悪いと思えない。嫌悪感でも懐けたなら抵抗できただろうが今の黒子には無理な話だ。視界が歪む。滲んだ涙を舐めとられても止まらない。どこが痛んでいるわけでもない。異常事態に混乱しすぎているのだろうか。 ゴツゴツとして大きな青峰の手。バスケットボールを持つための手。それが自分の身体を暴き立てようとしている。 脱がされていく服に対して違和感を覚えない。当たり前のように感じてしまう自分が卑しい存在に思える。 耳に感じる熱い青峰の吐息。 性器を扱き続けられて黒子の限界は近い。 唇を噛み締めて声を抑えるのに必死だ。 なんだか自分が馬鹿みたいで罪悪感と快楽の中で頭の中を整理できない。助けを求めるように青峰の方を見ればキスをされた。そうじゃないと言いたいのに何も言えない。聞こえてくる音が考えるという機能をそのまま麻痺させる。舌と舌が絡まって吐息を奪われていく。 最初と同じ大人のキス。 こんなことを青峰としたことはない。 舌の使い方も息継ぎのタイミングも分からない。 見事なほどに黒子は翻弄された。 舌と一緒に青峰の手の動きがどんどん早くなっていく。 追い詰められて黒子は目を開けてティッシュを探そうとするが青峰は唇を離してくれない。 「……んんっ!!」 堪え切れずに青峰の手の中で射精してしまう。 恥ずかしさに潤んでいた瞳から涙がこぼれて慌ててぬぐう。俯いてしばらく経ったが青峰は何も言って来ない。 少し怖くなって黒子は顔を上げる。 ――そこには誰もいなかった。 乱れた服を整えることも出来ず黒子は荒い息を吐き出しながら誰に対してか小さく毒づく。 射精後に来る脱力感。情けない気分。 滲む涙を無理やり拭って意識を静かに手放した。 これが悪夢なのか正夢なのか黒子には判断がつかない。 望んでいた青峰との関係はこんなものではなかった筈だ。 ちょっぴりしんみり空気。 エロはカプセルから出てきた青峰(仮)とだけです。 発行:2013/01/06 |