06
船から脱出し海から上がると、西の空は赤く染まりだしていた。新八は姉の妙と共に無事の生還を喜ぶ。

「幸い海の上だったからよかったようなものの、街に落ちてたらどーなってたことやら」
「あんな無茶苦茶な侍見たことない」
「でも結局助けられちゃったわね」

二人を助けてくれた侍は、パトカーを拝借していた警察と話している。

「んだよォ!江戸の風紀を乱す輩の逮捕に協力してやったんだぞ。パトカー拝借したのくらい水に流してくれてもいいだろが!」
「拝借ってお前、パトカーボロボロじゃねーか!!ただの強盗だボケ」
「そこはほら、上手くきのこ頭のせいにして……」

警察を丸め込め始めた銀時から、新八はそっと視線を外した。

「……姉上、僕……」
「行きなさい」

自身の決意を話す前に、妙に背中を押された。

「あの人の中に何か見つけたんでしょ。行って見つけてくるといいわ。あなたの剣を」

父の残した言葉は、「例え剣を捨てる時が来ても、魂におさめた真っ直ぐな剣だけはなくすな」だった。姉弟はその言葉を忘れていない。

「私は私のやり方で探すわ。大丈夫、もう無茶はしないから。私だって新ちゃんの泣き顔なんて見たくないからね」
「……姉上」

妙の顔はどこかすっきりしたように見えた。だから、新八は遠慮なく自身の選んだ道を進める。
父上。この男の魂いかなるものか。ひどくわかり辛いですが、それは鈍く……確かに光っているように思うのです。今しばらく、傍らでその光……眺めてみようと思います。




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