02
まず、銀時に枷(家族)を与えることであの無茶無理無謀も減るかもしれない。赤子というのは親がいなければ生きていけないものだ。少しは銀時も自重し、生きる方へ生きる方へと考えて動くようにはならないか。
知識の少ない銀時が一人で子供を育てるのは大変だろう。周囲の力を嫌でも借りることになるはずだ。ということは仮面をつけたまま殻にこもりそうな銀時を、周りに頼らせることも出来る。
子供がいれば銀時も遊び辛いし、地味にモテる銀時に群がる女も減るだろう。女避けになる。
自分がもし死んだ時、銀時を一人にせずにすむ。そのつもりはないが、死を厭うていては成せないこともある。絶対死なないとは言い切れなかった。
目的である銀時の心を引き上げることも出来るだろう。子供に癒され、自分は必要とされている、まだ守らなければならないものがあると思ってくれればいい。少しでも温かいものに触れて欲しい。
何より一番は、自分が銀時との子供を欲しいと思う。そういったものに現を抜かす暇はなく、男同士ということもありそういった想いを伝えたことはない。しかしお互いに特別だという想いを抱いていることは理解している。高杉は本懐を遂げるか志半ばで独身のまま死ぬか、やることもなくなった時適当な女と添い遂げるのだろうと思っていた。銀時も似たようなものだろう。しかし――“望んでもいいだろうか”。子供を切っ掛けにそういった考えが過る。本当は願っていた。いつも別々の方向を見ている自分達だが、銀時と手を繋ぎ同じ道を歩くことも出来るのではないか。違う方向を見たままでも。

「あの、晋助様どうかしましたか?急に癒しがどうこう言うなんて……」
「……いや、何でもねェ。来島ァ、ありがとよ。お陰で決心がついた」
「晋助様のお役に立てたなら良かったです!」

口元に笑みを掃き決意を固めた高杉は、さっそく動いた。地球に必要な施設はなかったため、江戸に子供を作るための設備を整えた。高杉と銀時の子供を作ったあとは、地球の人間のため人工的に子供を作る会社を運営するつもりだ。せっかく作った施設を無駄にはしない。
必要なものがすべて整うと、同時進行で調べていた銀時の居場所へ向かう。すでに戦後数年が経っている。少しはマシな顔になっていればいいが。

「ハイハイ、依頼の方ですかァー……え?」
「よォ、腑抜けたツラだな銀時」

万事屋の扉を叩き、出て来た銀時は変わらぬ眠そうな瞳をしていた。今は驚きに目を見開いている。最後に見た時より随分マシにはなっているが、まとう雰囲気は気だるそうなものだ。ほんわかしたものではない。

「言っただろ?てめーが落ち着いた頃に会いに行くって」
「お前が落ち着いた頃の間違いじゃねーの」

この様子だと、高杉がまだ攘夷活動をしているのは知っていそうだ。
体を引いて中へ案内してくれ、ソファに座らされた。銀時は向かいに座ろうとしたが、手を引いて隣に座らせる。不思議そうな顔をされたが、高杉にはあまり時間がなかった。会話を楽しむ暇はない。

「何?茶でも出そうかと思ったけどいらない?」
「あァ、悪ぃがそうゆっくりしてられねーんでな」
「あっそ。じゃあ何しに来たの」
「欲しいものがあってな」
「欲しいモン?何それ」

訝しげに眉を寄せる銀時に安心させるよう笑みを向け――それは銀時に嫌な予感を感じさせたが――、高杉は銀時の右手を掴み太股に座り込んだ。咄嗟に高杉を退かそうと伸ばされた手も掴み、右手でまとめて持つ。銀時より背は低い高杉だが体格は決して劣るものではなく、動きを封じれば銀時を自身の自由にすることは容易い。

「てめっ、何すんだ!会って早々暴力たァご挨拶だな。機嫌が悪いなら来んじゃねーよ!」
「暴力じゃねーし、俺ァ機嫌は悪くねーぜ?むしろいいくらいだ」
「はぁ!?」

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