ふり絞る疑問  [ 13/17 ]


「なんじゃ幸村、なんか言いたいことでもあるんか?」
「……真崎さんは、仁王の彼女だったん、だね」
「おん。…のう、幸村」


自分の声が震えているのがわかる。
憧れていた真崎さんと仁王の関係にショックを受けてるし、何より目の前の仁王がいつもと全く違う人に見えて怖い。


「お前さん、透のおかげで命拾いしたんじゃよ」
「……え?」
「透が男と仲良くしとるなんて、相手が誰でも俺は許さん。お前さんから透の名前を聞いた時、殺してやろうかと思ったくらいじゃ」


ゾクリと身体中が震えた。
口調はいつもと同じように聞こえるのに、目が本気だ。


「透はこの学校が大嫌いじゃ。その透が俺の呼び出しに応えて、きちんとお前さんの目の前でキスしたからお前さんは俺の牽制だけで済んだんじゃ」
「……」
「良かったのう、幸村。本気で透に惚れる前に終わって。透自身が、俺のもんじゃと証明したじゃろ?」


顔は笑っているのに、言葉遣いもきつくないのに、なんでこんなに威圧されてるんだろう。

仁王の言う通り、好きになる前でよかった?


(でも……)


忘れられない。仁王とキスしたまま、目があった真崎さんの表情。


「……真崎さんは、仁王が、好きなの…?」
「……は?」
「目が、合ったんだ。仁王とキ、キスしてる時の、真崎さんと。彼氏…好きな人とキスしてるはずなのに、全然、嬉しそうじゃ、なかった、と思う…」


言い切って、仁王の反応がなくて恐る恐る顔をあげた。


「――〜〜っ!?」


目が合った瞬間、仁王から頭をわしづかみにされて壁に殴りつけられた。


「〜〜っ、痛、いっ」
「馬鹿じゃのう、幸村。俺が許しちゃる言うとったのに」
「に、お……っ、離し、てっ」
「部長っ!!…っ、仁王先輩!!」
「仁王!!その手を離さんか!!」


バタバタと怒声とともにやってくる足音に少し安堵感を覚えた。