行為の意味  [ 12/17 ]


「ちょ、え、は?」
「ああ、比喩表現とかじゃなくて本当に殺されるよ」
「ちょっ、仁王先輩を止めてくださいよ!!部長今2人で…っ」
「そ、そうだぜ!!仁王止めれるのはお前くらいだろぃ!?」


必死な声を聞いて馬鹿だなあ、と思う。


「大丈夫でしょ。関係のない男だったらの話で、部活仲間相手になんて、自分に不利益なことしないわよ。暴力的に傷つけないために、私を呼んであんなことさせたんでしょ。…まあ精神的にはかなりやられてるかもしれないけどね」
「や、やっぱり行ってやれよぃ!!幸村君精神弱いんだって!!」


やっぱり馬鹿だなあ…。そんなことしたら…


「私があんなキスした意味は、自分と幸村君を守るため。あそこで拒否したら、幸村君は精神的な攻撃じゃ済まされなかったし、私だって無傷じゃいられなかった」
「む、きず…って、え?」
「…仁王から暴力を奮われることがある、という意味か?」


恐る恐る聞いてきた柳君に笑みだけ返す。そんなの、適当に考えておいてよ。


「ここで私が助けに行ったら?“雅の前”で、“私”が“別の男”を庇うのよ?…二人とも死んじゃうじゃない」


にっこり笑う。目の前の男達はただただ顔を青ざめさせて立ち尽くしていた。


「…私が助けた場合の話よ。誰か他の人が助けてあげることはできるんじゃない?」


そういって扉を見つめると、一斉に部室を出て行った。


「…行かないでいいの?柳君は」
「そう大人数で行かなくともどうにかなるだろう。…聞きたいこともまだ残っているしな」
「あら、何?」


ゆっくり振り返り視線を柳君に戻した。


「立海生が嫌いと言ったな」
「ええ」
「立海生が嫌いな理由は複数あるのか?」
「そうだね。…まあ二つ程」
「教える気はないのか」
「全くないよ」
「…ではなぜ、嫌いなはずの立海生である仁王と付き合っている?」


想像通りの問い掛けに思わず笑いが零れる。


「ははっ、柳君。それ勘違い」
「…勘違い?」
「そうだなあ…、教える気がないって言ったけど、一つだけ教えてあげる」


眉をしかめた柳君にゆるりと笑いかけた。