2 ふらふらと教室にたどり着くと、鞄を起き机に寝そべった。 「はよーっす………って延川?死んでんの?」 「原田ー…死んでると思うなら話しかけんなぁ…」 「機嫌わりーなー……なに?柏木とケンカでもした?」 「…っな、ち、げぇ………よ………」 なんか分かりやすすぎるくらい反応しちまった。 なんだよ、俺になんかあると旭、旭って。 「で、なにがあったのー」 「俺は何にも悪くない!旭がお、俺に……キ…き……」 「に…き?なんだってー?」 「っなんでもねーよ!!」 こいつに言っても何にもならない。てか言い触らしそう。そう思って直前で思い止まった。 「八つ当たりかよー、そーゆーの良くねーよー」なんて俺の右耳を引っ張ってきたので原田の鼻をつまみ返した。 「なにやってんだお前ら…」 「「あ……」」 原田とじゃれあって……いや戦争していた時、さっき俺が全力疾走で逃げた相手…旭が呆れた目でこっちを見ていた。 パッと原田から手を離し机に再び寝そべってタヌキ寝入りをしてみる。 「俺のナイスな鼻がー…って延川?」 「……ぐー」 「いやいやいや!遅いだろ」 原田のツッコミをシカトしたまま俯せを保つ。 どうしても旭の顔を見れないから。 「新…………」 「なに?お前らマジケンカ?」 「……いや、」 原田、空気読め。 俺はもうほっといてくれ。しばらくは整理する時間がいるんだ。 心の声が届いたのか、原田がそれ以上俺らの間の話に首を突っ込むことはなく、俺を起こすのを諦め旭とバカ話をしていた。俺はといえばそのままリアルにうとうとしてしまいチャイムが鳴ったのに気付かないで、ホームルームに担任に叩き起こされた。 「…………」 なんで俺が怒られてんだ……悪いのは旭なのに。 もはや八つ当たりにも近い文句を心の中でぶつけてみる。 (な、んでキスなんか……………) あれさえなければ俺は今日も上機嫌で一日過ごせただろうに。 額を机に軽くゴン、とぶつけてみる。……いってぇ。 「ばーか……旭のナス野郎」 英語が呪文のように俺の耳を通り抜けて行く。俺は教科書を立てて、教師に見えないようにケータイを開いた。 ポチポチとボタンを押し、送信しようとした矢先、相手は真面目に授業を受けているであろうことに気付く。 休み時間に送るか?………まあいっか。 結果、送信して返事はすぐに返ってこないと判断、そのまま机に寝そべった。 <<||back||>> |