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6月某日。雨が降っててなんだか寂しい裏庭に呼び出しを食らって、早20分。
俺を呼び出したのは紛れもなく俺の最愛の恋人だ。
名前は、桐矢。良い名前だと思わない?とーや、って呼びやすいでしょ?


で、昼休みが終わる10分前にとーやからメールが来て、





『裏庭に来て』


たったそれだけ、時間も書いてない。
でも俺はそれを見た途端、今の今まで話をしていた友達を放って、校舎裏に向かって駆け出す。


裏庭、なんてカッコつけた言い方をしているけれど、実際はただの校舎裏だ。
ただ学校が雇った定年を過ぎたおじいちゃんの庭師が、そこを一生懸命手入れしてまるで小さな庭園のように綺麗にしてしまった。


おかげで此処は校内で最も有名な告白スポットだ。
今日は雨だけれど、この時期は紫陽花がとっても綺麗。
どうせなら近くで見て暇を潰したいんだけど、濡れるのはやだから大人しく屋根のあるところで待ってるの。





もう授業が始まって少なくとも20分は経ったんじゃ無かろうかと思う。
時間を確認しようと思ってもこんなところに時計はないし、ケータイは教室において来ちゃった。

とーやから連絡が来てたら困るけど、もし俺がケータイを教室に取りに帰ってる間に桐矢が来ちゃったら困るでしょ?

ていうか今授業中だし、教室に帰ったらセンセーに捕まっちゃうし。




誰もいないここは、たまに風が通るくらいで音すらあまりない。

でも俺待つの好きだからへーきだよっ

とーやを待ってるっていうだけで幸せ。
俺ってキモい??


とーやからのいきなりの呼び出しは少なくない。
特に最近、俺の電話やメールには返事もしてくれないけれど、急な呼び出しが増えた。

でもとーやに頼って貰えるなら全っ然おっけー!むしろ嬉しい。




俺、自覚あるよ。とーやのこと好きすぎる。







「サト」


バッと振り返ると、とーやが後ろにいた。

あ、サトって俺の名前ねー。上川聡、下の名前のさとるからとってサト。

とーやが俺に付けてくれた、とーやにしか呼ばせないあだ名。




「とーや!!もう5限終わったの?」


「さっき」


「そっかあ〜大丈夫?濡れなかった?」


「お前、いつからいたの」


「へ…んーと、メール貰ってすぐ来たよ?」






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