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そうして、ベッドに腰掛けたままアイスを舐めながら安ちゃんとたくさん話をした。
学校でもいつもいっしょにいても、やっぱり二人きりのときしかできないはなしもある。



「最近どうなの?安ちゃん」

そう尋ねるのは、女の子のことだ。

「んー……今はない。明後日合コン」


そう話す安ちゃんは、どこかつまらなそう。いつもは女の子の話には意気揚々と答えるのに、どーしたの?

そんな俺を余所に、安ちゃんはずいっ、と俺に顔を寄せた。


「この件は俺の話はいーの!それよりお前だろ!この前の子、どーなの?」


この前の子とはさっきメールが来てた子のことかな?そう思って思い返す。
どーなの、と言われても、



「可愛いけども、今はいーや……」

「お前、まだ引きずってんの?」


安ちゃんの顔が怖い。
引きずってるって、言わずもがな彼のことだ。そんな風に見えるのかな、やっぱ。


「……ま、当たり前か、…一週間もたってねーんだしな」

安ちゃんが、おれをみてはぁ、と溜息をついた。
そんな顔しないで?

「そんなことないよぉ、ほんとーに!」


そりゃ悲しい。引きずってる。でも、こっぴどくフラれたあの時よりも幾分か気分はマシだ。
それもこれも、何気なく俺を気遣かってくれる安ちゃんのおかげだっていうのは、馬鹿な俺でもわかってるよ。



「…………」

そんな俺に安ちゃんは珍しくなにも言ってこない。
怒ってるのかなあ、でもその顔はどちらかというと何か思案しているように見えた。


「安ちゃん…?」

「………あ、わりぃわりぃ…明後日どんな服着てこうか考えてた!」

「ええっ!酷いーっ!」



そういって、なにもいつもと変わらないように笑った。
でも、違和感を感じないわけないじゃん!…俺だって安ちゃんといっしょだよ。2年間ずっと友達で居たんだから、俺だって見れば分かるんだよ。

俺は頼りないけども、何かあるなら相談してほしいよ。


訴える視線を安ちゃんに送ると、勘違いしたのか「なに、しんどいなら寝ときな」と布団の中に無理矢理押し込められた。



「体温計ないの?」

「リビングにしかないー……」

「持って来ときなさい!」

どうやら、熱を測ってくれようとしているらしい。
ほんとに、かーさんみたい。いやいや、かーさんより面倒見がいいかも。


「聡」


そう思っていると、突然安ちゃんの顔が近づいてきた。
ドキッとして、思わず目をつむった。


おでこに、コツンと何かが触れる感覚。

「んー、まだ熱いかな?分かんねー」


ゆっくり目を開くと、安ちゃんはもう俺から離れていた。

熱、測っただけ………?


「お前さっきビクッてしただろ!」

「びっくりしたんだもん……!」


安ちゃんは笑っている。
俺はさっき、なんでドキってしたんだろう。なぜか反射して目をつむってしまった。
こんなの、この前もしてもらったじゃん。

(俺、最低………?)


安ちゃんは、俺の大切な友人だよ。




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