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「副会長ぉー、これはどーすればいーですかぁ?」


「ああ、これはですね……」


生徒会室にて。
俺達の初仕事は書類の仕分けみたいなものだった。
まあ生徒会の仕事は殆どが書類の整理らしい。
あとは行事についての案の打ち出しとか。

元から肉体労働なんてイメージはなかったが、実際やってみるとずっと机に向かっての作業。


「ね、ねむいぃ……」

「こら、頭落ちてるぞ」


始めて1時間弱。
副会長、庶務の美山先輩、剛、俺の四人で生徒会室に篭って仕事中。
みんな真剣だから静か。静かなのは好きだ、少なくとも五月蝿いよりは。

でもまあ、静かすぎると眠くもなるだろ?


「んんー………頑張る…」

目を擦りながら一生懸命書類に目を通していると、クスクスと笑う声。


「キリもいいし、なにか飲み物でも入れてきましょう」


そういって席を立とうとする副会長。
副会長はそんな雑用みたいなことまでするのか。
偉すぎる。


「そ、んなぁ……俺がやりますよぅ」


「ふふ、遠慮しなくていいですよ、いつものことですから」


そう笑ってやんわりと俺の申し出を断る副会長。

「何なら飲めますか?」と言ったあと、「まあコーヒーと紅茶とお茶くらいしかないですけど」と笑う副会長。本当に綺麗で可愛い人だ。

「じゃあ……紅茶でっ」

「鳴海くんは?」

「すいません、コーヒーで」

「了解しました。先輩はカフェオレでよろしいですか?」

「……あぁ、いつも、すまない」



テキパキと動く姿は俺には出来そうにない。
副会長がお茶を入れに行って、俺も少し手を止めた。


「美山先輩はぁ、甘いのが好きなんですかー?」

「……ああ、ブラックは……苦い」


この人も、見かけに寄らず可愛い人らしい。
苦いのは俺も無理だけど。


「剛はブラック飲んでたよね、朝とかー……」

「ああ、朝は目を覚ますのに苦い方がいいからさ」

「かっこいいなあーっ、俺コーヒー苦手だよぉ」

「怜はかっこいい要員じゃないからいいだろ、紅茶で」

「えっ、それどーゆー意味ぃーっ!!」



ちょっと和やかになった生徒会室。
俺の眠気も覚めてきたその時、

扉が音を立てて開いた。

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