ハリポタ小説
噛みつくその牙(1)「グッ・・・。」
倒れこむ少年。肩の傷は思ったよりも深いようだ。
「フハハハハ!お前もこれで同類だな!せいぜい楽しもうぜ!」
大きく裂けた口。それがニタリと不気味な笑みを浮かべ、大きな背中を向けて走り去っていった・・・。
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「・・・マス?・・・リーマス!!」
ぼんやりとした視線の先に見慣れた部屋の様子が目に入る。
「ああ、良かった。目を覚ましたのね。気分はどう?何か飲む?」
母親がそこにいた。僕は小さく頷く。
「・・・そう。じゃあ、ちょっと待っててね。」
母は慌てて部屋を出て行った。
僕は自分の体を調べてみる。まだ、(肩に包帯が何重にも巻かれているのを除けば)特に変わった所はないようだ。しかし、それも時間の問題だ。それはこの肩の噛み傷が証明してくれる。何せ、僕が噛まれたのはただの獣じゃない。それは――。
「リーマス!ああ、もう心配したんだから!!」
『え、えーっと・・・。』
いきなりドアが開き、かと思えばいきなり僕に抱きついてきた。よくよく見ると、それは近所の女友達で、自分を心配して来てくれたのだと言う。
「ねえ、狼男に噛まれたなんて嘘よね?あなたのお母さんたら、それはもう慌てちゃ・・・」
『本当だよ。』
真っ直ぐに彼女の目を見つめて真実を伝えると、その顔はみるみる歪む。
「・・・そんなっ!ど、どうしてリーマスが・・・。」
『偶然だよ。運が悪かったんだ。』
「で、でもっ、何かの見間違いかもしれないし・・・!」
『それはないよ。自分の目で見たんだから。』
「・・・そ、それじゃあ・・・あなたももう、狼男・・・?」
一番聞きたくなかった言葉。ここで嘘だと言うことが出来たら、どんなに良かっただろうか。けれど、それは出来ない。何故ならそれが、真実だから。
『うん。僕は奴らの同類、だ。』
それを聞いて、彼女は泣き出した。その肩に僕が触れようとすると、