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クラピカ視点
審判の合図と共にナイフをチイが投げつける
しかしヒソカもそれをすぐにガードし、すぐさま右ストレート…いや、左ストレートを繰り出すがチイはそれをギリギリの所で避けた
一瞬の内に行われた行動……私も目を凝らしていなければ何が起きたのか理解できなかっただろう
実際隣に居るレオリオは何が起きたのか理解できていない
次に仕掛けたのはチイ
トリックタワーの時にも使っていた爆弾キャンディーと言うものをナイフの刀身に付ける
…あのキャンディーは一体何なのだろう、見たことの無い爆弾だが……
「とりゃっ、ですよ!!」
ヒソカにそれが当たると同時にナイフが爆発する
それと同時にナイフも爆破され、破片がコッチまで飛んできて、私の頬に掠り血が流れ出ててくる
しかし、当のヒソカは全くの無傷だった
「クックックッ、面白い使い方をしてるね」
続いてヒソカも連続でトランプを投げつける
チイはその攻撃を軽々と避け続けるが……
「うわぉ!!」
突然、チイはヒソカの方へと引っ張られたかのように近づく
ヒソカは当然ソレを見逃さずにトランプを投げつけ攻撃をする
チイはそれをギリギリのところでなんとか避けた
…だが、彼女の結んでいた右側の髪がヒソカのトランプによって無残にも切られ、赤いリボンがひらひらと地面に落ちていく
チイは髪を切られたことに動揺したのか、髪を触る仕種をしていたがすぐに体勢を立て直した
…これが、旅団の実力なのか
だがチイが抜け出したのは六年前…旅団とてその頃より格段にパワーアップしているのだろう
………レベルが、違いすぎる
続いて、チイが何か腕を動かす仕種をしたと思ったら、ヒソカの周りに茶褐色の檻が作り上げられていた
甘い匂いが会場全体を包み込む
あれは、一体…
「クク、この程度で僕の動きを止められたと思うのかい?」
「まさか、そんなつもりはありませんよ」
チイは何処からか白い粉を取り出し、それを檻にばら撒く
更にその上から何かの液体をばら撒いた
零れ落ちた液体が地面に当たり、ジュッと言う音を立てる
「っ、これは!!」
硫、酸?
液体が何かとわかると同時に、ヒソカを閉じ込めていた檻が一気に発火した
「っ、危ない、危ない、まさかこんな使い方をしてくるだなんて」
「ふふん、悪いですけれどチイさんは理系の女子なんですよ」
おそらく、ヒソカを閉じ込めていた檻は砂糖か何かで出来たものだったのだろう
そこにあの白い粉、塩素酸カリウムか?をばら撒き、更にその上から濃硫酸をばら撒く
それにより、発火現象を引き起こさせたのか…
チイはそのままヒソカに爆弾キャンディーを当てて…
「っ、ガァッ!!」
一瞬のうちにヒソカの真下へと移動し、顎をぶん殴った
速い!!いつの間にあそこへ……
「ヒソカさん、プレゼントですよ」
動きが鈍ったヒソカを硫酸がばら撒かれている所へと押し倒し、懐から更に何かの液体を取り出し、掛けようとした瞬間
「まいった」
ヒソカは、降参した
っ―――なんて、戦い方なんだ
「なんだ?なんで降参したんだ?」
「……おそらく、チイがばら撒こうとしたのは水だ」
「水ぅ?なんでそんなのが危ないんだよ?」
……濃硫酸には溶解熱が大きいという特徴がある
それにより、濃硫酸に水を加えると水は急激に沸騰し、結果…水蒸気爆発に近いものが起きる
…恐ろしい
彼女はヒソカを殺そうとしたんじゃない、ただ甚振ろうとしたんだ
彼女の攻撃はどれも致命傷とまではいかないレベル
ただただ甚振って甚振って甚振って…そしてソレを楽しんでいる様にさえ見えた
そして彼女は強い
全てが私とは……天と地ほどの差だ
これが、元幻影旅団の実力か
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