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太ももに描かれた4の番号入りの蜘蛛の入墨
そしてその上から痛々しく引かれた一本の大きい傷跡
「へへ、どうしたんだいその入墨?君もさっきのあれと同じ」
「違うよ」
一瞬、レイスの横を何かが横切る
だけど何が横切ったのかがわからない
否、首を曲げる事ができなくて、何が横切ったのか確認できないのだ
「私は正真正銘」
何か、生暖かい物が首筋に流れる
「幻影旅団の」
ゆっくりと、顔が傾いていく
「元4です」
そしてその時になって漸く、首が切られたのだとレイスは理解した
「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁっっ!!」
「あー、うるさいですねー、安心してくださいよ、その程度ならまだ死にませんから」
ゆっくりと手に持ったナイフを振り回しながらレイスに近づいていく
「あ、でもその調子だと喋れなくなっちゃうかもですよ?」
レイスに近づき、髪を掴んで頭を無理やり持ち上げる
「あ、でももしかしたらもう聞こえてませんかー?そうだったらすみません」
そしてそのまま流れるように目に向かってナイフを突き刺した
瞬間、レイスの悲鳴が響いたがそれに特に気にする事もなく突き刺したナイフをぐちゅぐちゅに動かしていく
「うふふ、ちょっと興ざめです…巷で騒がれた殺人鬼だって言うから強いのかと思いましたが……所詮一般人ですね、弱すぎです」
呆れたように言い、それでも尚ナイフを動かす手を止めない
右目が完全にぐちゅぐちゅになると、次は右肩から手首まで一気にナイフを引いた
「そういえば知ってますかー?昔何かの実験で人間の体を切り刻む実験をやったらしいですよ」
続いて腹を掻っ捌く
すると腹の中に詰まっていた臓物が一気に圧力から開放されて地面に零れ落ちていく
それを靴の上から踏みつけ、大腸をナイフで切り刻む
「あれって結局どこまでやったら死ぬんでしょうね?私詳しく聞いてないから知らないんですよー、あなたは知っていますかレイスさん?」
明るい、無邪気な声で質問する
だが質問されているレイス本人は既に虫の息でその質問に答える気力などとうに無かった
質問に答えてくれなかった事に苛立ったのか、それともまったく別の理由だったのかはわからないが今度は左肩にナイフを突き刺し、今度は抜くことなくそのままナイフをぐちゃぐちゃに動かす
「あーもう、何で何も言わないんですかー?お母さんに習いませんでしたか?人に質問されたらわからなくても何か言うって!!」
左肩から左胸にかけてナイフを引き摺り下ろす
「って、あれ?」
そこで漸くチイは気づく
「なーんだ」
何も言わないレイスの様子に
眉1つ動かぬ姿に
「死んじゃってるや」
無感動に、只淡々とその一言は発せられた
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