第八話

お話をしよう?


××


今、キャラバンは襲撃予告のあった京都の漫遊寺中に向かっている

…正直気まずい

隣に座っているのせは北海道から何も言わないし、はるなん達も私を少し避けている

きーちゃん達はあからさまに私を睨んできている

ま、今更だからいいけど

にしてもレーゼ達はどうなったのかな、無事だといいんだけど


…追放、か

あの新しく現れたイプシロン達も負けたら追放されるのだろうか

なんか、嫌だな

サッカーってもっと楽しいものの筈なのに、負けたら追放

絶対に勝たなくちゃいけない、なんて…辛いなぁ

それに比べて私達って恵まれてるよね、負けてもまた挑戦できるんだから

宇宙人って大変だな、勝利以外求められないなんて


××


京都の漫遊寺中に着いた

でも、襲撃予告があったとは思えないほど、いつもどおりの学校の風景だった

にしても漫遊寺の女の子って可愛いな

制服も着物みたいでいいな、なんとかここの制服手に入れたい

そう考えている自分がなんだか他人の様に感じた

私は今宇宙人と戦っていて、皆から嫌われていて、そしてはるなん達の味方をしている

だが、そんな自分を他人の様に感じるのだ

レーゼを救ったときから、今ここに私がいるのがおかしいと感じたのだ

もしかしたら、私は宇宙人の子孫なのだろうか?

だから、あんなにもレーゼ達を救いたくなって、憎めなくて、恨めなかったのだろうか?

遠い、急に皆を遠くに感じる

それが、たまらなく怖くて―――あたりまえだと思ってしまった




××



漫遊寺の奥にあるサッカー部

しかし、そこに行ったもののまさかの戦う気がないと言われてしまったのだ

漫遊寺がお寺に連なる中学校だとは聞いていた

しかし、ここまでの宇宙人達の行動を見た上で戦う気がなく更に話し合いで終わらせようとするなどなんて頭がおかしいんじゃないかと思った

あの宇宙人達が話し合いに応じてくれるなら私たちはこんなに苦労をしていないというのに、



「…なんか、骨折り損だな」



「…亜紀、大丈夫?そんな難しい言葉を使うなんて」



「おいこらのせ、いくら俺でもこれ位はわかるぞ?」




漫遊寺に来て、小暮とかいう子供に悪戯されて、その上門前払い

なんだか、こう、イラッとくるな




「ハァ、ちょっと疲れるな」




結局、その日は自由行動という結果に終わった

漫遊寺があの調子ならしかたないだろう

はるなん達は女子で固まってもらいのせをボディーガード代わり京都を回ってもらうことにした

一方私は、京都で用事があり、単独行動をとらせてもらった

その用事というのは病院なんだけど

前お母さんに北海道であった頭痛を話したら京都の病院に行けと言われてしまったのだ

ちょうど自由行動という事もあり、私は病院を目指していた

…正直病院は好きじゃない

てか、好きな人もそうそういないだろう

あの真っ白い壁に薬品のにおい、真っ白い白衣をきた人々、注射器の針、心電図の音、薬の苦さ、

どうも好きになれない

ハァ、めんどくさいなぁ



××


病院の待ち時間というのは実に退屈だ

本を読んで過ごす人もあるが、病院にある本は基本的につまらない

本当、退屈だなぁ




「12番の亜紀さーんっ、診察室にどうぞ」



名前を呼ばれ、診察室へと向かう

診察室に入るといっそう薬品のにおいがした




「やぁ、始めまして亜紀君」



名前を呼ばれ、椅子に座るよう言われる

なんというか、よくいる医者のテンプレのようなひとだ

めがねをかけた穏やかそうな顔

年は30代後半って所だろうか?




「それじゃ、今日は…頭痛のことだね」



「あ、はい」




それからは稲妻町の病院と変わらない質問をされた後、薬を渡された

…やっぱりどこの病院に行ってもそんなに対応って変わらないのかな?

医者には新しい薬を渡され、前の薬は飲まなくてもいいといわれた

…なんか、薬の種類増えてるような、

あーあ、薬苦いから嫌いなんだよなぁ

そう思いながら病院から出て、病院前の信号が青に変わるのを待つ

なんか変わるの遅いなぁ、と思っていたときだった




「…かぜ、まる君?」




れいちゃんが現れたのは



××


気まずい、

なんでれいちゃんうちの隣に立ってるんだろう




「…風丸君」



「…なんだ」



「その薬、何?」



しまった、薬をしまうのを忘れていた



「…ただの頭痛薬」



「…ただの頭痛薬にしては量、多いね」



「知るか、だしたのは医者なんだから」



やはり、一般的に見てもこの薬の量は多いのだろうか?

だがこれを出したのは医者だ

それに従うしかないだろう




「…ねぇ、本当はなにか病気なんでしょ」


「はぁ?俺が病気なわけないだろ」


「…別に、隠したいならいいけど」



そういってれいちゃんは信号が青になったと途端、早足で行ってしまった

…なにがしたかったんだ?

ま、いいか

帰りにはるなん達に団子でも買っていってやるか

あ、でも京都だし八つ橋の方がいいか?

後ついでに緑茶も買っていくか


そう思い、青に変わった横断歩道を渡った








病院



(ただいまーはるなん)


(おかえりなさい、風丸さん…あっ)


(あ、はるなん達も八つ橋買ってたんだ)

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