the 4th day[11/14]

「……ん、ンッ」

鳥肌が立つように全身が粟立って、気持ちよ過ぎて意識がどこかに行ってしまいそうだ。ただ、雄理にしがみつくことしかできない。

「や……ッ、あ、あッ!」

急に下から突き上げられて大きな声がこぼれた。また軽くイったみたいで中が小刻みに痙攣してる。

「ちょ、まっ……ッ、んっ、あっ」

「俺も余裕がないんだ」

必死に訴えたけど一言で片付けられてしまう。すごく敏感になってるのに動きはどんどん激しくなっていく。揺さぶられる度に身体がビクビクと上下に跳ねる。中が熱くて堪らなくて、なのにそこを擦られれば与えられる刺激でまた疼いてくる。もっと欲しい。だけど、これ以上気持ちよくなったらもう壊れちゃうかもしれない。
俯けばもう二回も欲を吐いたものが、また勃ち上がってるのが見えた。

「ゆう……りっ、あ、ぁッ!」

イってんのか何なのかもう境目もわからなくて意識が飛んでいきそうなのに、中を掻き混ぜるように突かれて、思わず顔を上げて雄理を見つめた。

「……ひな、た」

こんなにいやらしいことをしてるのに何かを我慢してるみたいなストイックな顔が、もう堪らなかった。

「もう、もたな……ッ、早く……」

泣きたくないのに勝手に涙が溢れてきた。必死に訴えると、強く抱きしめられて頬や首すじにいっぱいキスされた。
律動がますます激しくなっていく。、必死に掴まってると、どんどん高いところに引き上げられる。

「あっ、ぁ……ん、ふ……ッ」

頭の後ろを支えられながら、強引に口の中に舌を挿し込まれる。
息苦しさの中でキスを交わしながら、俺のことを好きでいてくれてるんだと思うとまた泣けてきた。揺さ振られてグラグラする身体を持て余しながら必死に舌を絡める。
雄理は俺を閉じこもってた籠から引き摺り出そうとしてるんだ。だから、こうして必死に繋ぎ止めようとするんだろう。

「あ、も……、ゆう、りッ、あ、あ……ッ!」

大きな波に浚われそうだった。離れたくなくて、何度も何度も雄理の名前を呼んで必死にしがみつく。
熱い精が中に注ぎ込まれた瞬間、俺は意識を手放してた。





温かく湿った感触が身体を擦るように辿っていく。ふわふわして、すごく気持ちいい。
重い瞼をゆっくりと開けると、雄理の顔が見えた。
ああ、まだ夢の中にいるらしい。お前のことを忘れようとして、その度に何度夢を見たかわからない。

「大丈夫か」

その声で、急速に意識と記憶が戻ってくる。
勢いよく起き上がると俺は素っ裸だった。雄理はもう服を着てる。熱い濡れタオルで俺の身体を拭いてくれてるところらしかった。

「ちょっ、やめろよ!」

めちゃくちゃ恥ずかしくて、その手を強引に押し退けて布団を被る。
身体が怠くて、下半身にまだ何かが詰まってるような違和感があった。明日は絶対に筋肉痛になるだろうなと妙に現実的なことを考えてしまう。

「陽向、もうすぐ約束の時間なんだ」

雄理の言葉に壁の掛時計を見上げると、もう六時を指そうとしてた。アスカが迎えに来る時間だ。
せっかく一緒に過ごしてたのに寝てしまったなんて、もったいなくて落ち込む。
アスカは俺を迎えに来て、それからどうするつもりなんだろう。雄理は知ってるかと思って訊いてみたけど、一蹴された。

「知らんが、任せておけば大丈夫だろう」

「信用してるんだな」

「お前を連れてきてくれたからな」

雄理が優しい微笑みを向けてくれて、それだけで胸がいっぱいになる。確かに、この幸せはアスカがくれたものだ。
ベッドから起き上がって何とか服を着る。身体が重かった。

「陽向、用が終わったら、ここに戻って来い」

雄理の真剣な眼差しが、心に突き刺さる。俺だってもう離れたくない。でも、冷静になればやっぱり迷いはあった。

「俺には借金もあるし、店だって勝手に抜けてきた。ヤバイ奴らが追って来ると思う。お前に迷惑が掛かるし、一緒にいると危ない目に遭うかもしれない」

雄理はただ俺をじっと見るだけで、何も言わなかった。

「それに俺、男だし。お前といるのは不自然かも」

そう、それもすごく不安だ。ずっと一緒にいるうちに、雄理は俺のことなんてすぐ飽きちゃうんじゃないだろうか。
それでもやっぱり雄理は黙ったままだから、つい痺れを切らしてしまった。

「何か言えよ」

「ハンバーガーが食いたい」

「……は?」

「お前と行って以来、食ってないんだ。もう限界だから、お前が戻ってきたら行く」

何だよ、それ。他に何か言い方があるだろ。
呆気にとられて、次第に笑いがこみ上げてきた。でも仕方ない。俺はそんな不器用なお前が好きなんだから。

「わかったよ。一緒に行こう」

逞しい腕を引っ張ったら顔が近づいてきたから、そのまま口づける。唇を割って、舌が入ってくる。酔いそうなぐらいに甘いキスだ。
今俺が抱えてる問題が全部うまくいくなんて思ってない。店を抜けたのは本当にヤバイことだし、先のことを考えると正直怖い。それでも俺は、もう雄理から離れられそうになかった。
舌を絡めれば、気怠い下肢がまた疼く。疲労感が半端なくてもう絶対無理なのに、またしたくなってきた。
名残惜しく唇を離すと、雄理が俺を抱きしめる。

「俺は結構強いんだ。ちゃんと守る。しっかり傍にいろ」

頼もしい言葉だった。今までは自分の境遇に抗うことを諦めてたけど、雄理が一緒にいてくれるなら俺も闘いたいと思った。
インターホンの音が鳴り響く。アスカが迎えに来たらしかった。







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