「っん、あ、あぁ……ッ」
ぬるりとした感覚に呑み込まれていく。気持ちよさに何度も息を吐いて、このまま激しく突き上げてしまいたい欲望をどうにかやり過ごす。
うん。ワンピースが中途半端に肌にまとわり付いて、すごく邪魔です。
熱く濡れた李一くんの中は、いつものように優しく俺を包み込んでくれる。1番奥まで入ったところでぴたりと肌が合わさって、そこで少しの間俺は動かずに李一くんの顔を覗き込み、ひとつになった悦びを噛み締める。 じっとしていると誘うように締めつけられて、ぞわりと肌が粟立っていく。 うっすらと目を開けた李一くんと、視線が交じり合った。縋るような瞳には不安げな光が滲んでる。
「李一くん、大好き」
大丈夫。李一くんは1人じゃないよ。
何度口にしたって、なかなかわかってもらえないのかもしれない。それでも、李一くんが俺の言葉で少しでも安心してくれればいいなと思う。
ゆっくりと抽送を始めれば、それに合わせて上擦った声がこぼれ落ちる。一緒に互いの熱を感じて、高まり合っていく。李一くんとのセックスはいつだって極上の気持ちよさで、1人では絶対に辿り着けない高みへと容易く連れて行かれてしまう。
「……あ、アッ、湊人、湊人」
「 ──── ん、李一くん」
快楽に融けた李一くんが何度も俺を呼ぶ。それが嬉しくて、俺も李一くんの名前を呼んでみた。途端にきゅうっと強く締まる内壁に、油断してた俺は危うく持って行かれそうになる。
「湊人……ッ」
シーツを何度も掻いていた手が不意にこちらへと差し伸ばされる。掴んだその手の甲に口づけてから、李一くんの背中とシーツの間に手を差し入れて一緒に起き上がる。中から引き抜くことなく何とか体勢を変えて向かい合って座れば、さっきよりも深いところで繋がってる気がした。
「李一くん、好き」
苦しいぐらいの快楽に頭がクラクラする。好きだよともう一度笑いかけると、きれいな顔が近づいてくる。 王子様から与えられるご褒美のキスは、ほんのりと甘くて柔らかい。 突き上げながら身体を揺さぶれば、李一くんは俺にしがみつきながら首の後ろに手を掛けてきた。 背中でファスナーが外れる音がして、肩から袖がずり落ちる。そのまま両袖を抜くと、ストンと腰の辺りでワンピースが引っかかった。 ギュッと抱きつけば熱い肌の合わさる感覚が心地いい。やっぱり直に触れ合うのが1番好きだ。
「あ、湊人、イきそう……ッ」
耳元でそんなことを言われて、余裕のない俺の感覚はまた一段と高まっていく。
「ん、一緒にイこうね」
腰を振ってぐずぐずに蕩けたそこをより一層強く穿てば、やがて李一くんの中が痛いぐらいに俺を締めつけ始めた。
「 ──── ああ、あっ、ぁ……ッ」
絞り込まれるような刺激に抗うことなく俺も熱を解放させる。繋がった部分から波のように後を引く快感に何度も息をついた。 抱きついたまま余韻に身を委ねる李一くんが、かわいくてたまらない。
「みな、と……」
くたりと力の抜けた身体をしっかりと抱きしめる。
「俺、李一くんが大好きだから。一緒にいさせてね」
言い聞かせるようにそうお願いして、しっとりと汗に濡れた背中を宥めるようにさすっていく。 大丈夫。大丈夫だよ。 俺の気持ちは、ちゃんと李一くんに届いてるかな。
李一くんが少しでも俺を必要としてくれるなら、それだけですごく幸せなんだ。
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