the Way You Are - side M -[6/6]

「俺、カレー作るよ。後夜祭が終わったら、李一くんのおうちに行っていい?」


お赤飯は、今度でいいしね。
俺を見上げる目尻は涙に濡れて、ほんのりと赤くなってる。え、何それ。すごく色っぽいんだけど。


「甘口、食べたい」


「ん、わかった」


俺は何となく気づいてる。李一くんの食べ物の嗜好が少し子どもっぽいのは、記憶を手繰ってるからかもしれないって。
お母さんの作ってくれた、料理の味。

もしかすると、李一くんが俺を傍に置いてくれてるのは、お母さんの面影を追ってるだけなのかもしれない。
でも、それが李一くんと一緒にいられる理由になってるんだとしたら、俺はそれでも構わないと思う。


「李一くん、大好きだよ」


そう言って両肩を掴んで軽くキスをする。すっかり暗くなった教室で、李一くんは潤んだ目で戸惑いながら俺を見つめてる。

大丈夫。俺、李一くんから離れないからね。

窓の外に目を移せば、グラウンドの向こうに見えるのは人だかりと燃え上がる炎。
後夜祭を締めるファイヤーストームが始まったんだ。
李一くんは、クラスの委員長でこの学校の王子様だ。いつまでもこんなところに引き止めておくわけにはいかない。


「俺、着替えるから。先に行ってて」


「着替えなくていい」


「えっ」


「その格好で、うちに来い」


「えっ、えっ」


李一くんが俺の手を取って引っ張る。いや、だって俺、さすがにこれで外へ出るのはつらいよ?


「あの、パンツは履いてもいいよね」


「駄目」


刺すような視線に射抜かれれば、もう何も言い返せない。


「そのままうちに来て、その格好でヤるからな」


「え、ええっ」


いや、セックスはしたいんだけど、よりによってこのままなの?

でも、そんな李一くんは、何だか少し嬉しそうで。
喜んでもらえるならまあいっか、なんて思いながら、俺は大好きな人と手を繋いで教室の外へ飛び出したのだった。




the Way You Are - side M - end


2014.9.15 公開
2014.12.23 加筆修正


- 47 -

bookmark
prev next





×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -