「り、李一くん」
俺を咥え込む李一くんの中はきゅうきゅうと絞り取るように締めつけてくる。何かが逆流しそうに詰まってる感覚がして、苦しさに思わず情けない声が出た。 余裕なさげに俺を見下ろす顔は、本当に艶っぽくてきれいだ。
「一緒に、イかせて、ください」
息も絶え絶えにそう訴えかけたものの、それが無理な願いだということはよくわかってた。 これ付けてたらイけないし。勃ってたら外せないし。出さないと萎えないし。八方塞がりだ。 改めてそんなことに気づいて、今度は勝手に涙が出てくる。もしかしたらこのまま壊死しちゃうかもしれない。 俺のここが使いものにならなくなっても李一くんは傍に置いてくれるだろうか。 心底絶望してると、チッと盛大な舌打ちが聞こえてきた。
李一くんは繋がってるところに手を伸ばして、しばらくゴソゴソと何かを探る。カチッと小さな音が響いて、ふわんと根元に血が通う感覚がした。 あ、外れた。
そう思った瞬間、まさに箍が外れたように身体の中に滞留していた熱がそこへと集まっていくのがわかった。
「あ、李一くん、イく、イく……ッ」
我慢できなくて下から何度か激しく突き上げた俺は、変な声をあげながら溜め込んでいたものを李一の奥へと放ってしまう。その瞬間上擦った悲鳴と共に、きれいなピンクの先端からこぼれ落ちた白濁が俺の腹をハタハタと濡らした。 前へと倒れ込んでくる細い身体を優しく抱きとめる。合わさる肌が、李一くんの放ったものでぬるりと滑った。
ああ、一緒にイけてよかった。
愛おしさが込み上げてきて、もつれ合う呼吸を塞ぐようにゆっくりと唇を重ねていく。あんなに辛かったのに、終わってしまえばそれがなかったことになるぐらいの至福に変わる。いつだって李一くんが俺にくれるのは、極上のひとときだ。
少しぐらい痛かったり辛かったりしてもいい。これからも李一くんがこんなことをする相手が俺だけならいいのにと心から願う。
「大好きだよ」
唇を離してそう囁けば、照れたように視線を逸らしてしまう。そういうところもかわいくて、汗ばんだ額にこっそり唇を押しあててみた。
「……これ、よかったか」
しばらく考えて、この卑猥なパンツのことを言ってるんだと気づく。 いいわけないよ、と口にしかけたけど、よくよく考えてみると最終的には気持ちよかったわけだから、悪くなかったのかもしれない。
「うん、まあまあかな」
そう答えてみると、李一くんはいきいきとした瞳に俺を映しながら不敵に笑った。
「じゃあ、次はこれ履いて学校来いよ」
えええ。ノーパンの方がまだマシです。
「はい、わかりました」
そんな返事に安堵したように少しだけ表情が緩むのを見て、俺も嬉しくなってしまう。 俺はもう、気づいてるんだ。 李一くんが俺にいろんなことを試すのは、何をしても俺が離れていかないかどうかを確認してるんだって。
そんな風に試さなくたって、どんなことがあっても俺は李一くんの下僕をやめることはないんだけど。 それで李一くんの気が済むなら、別に何をされてもかまわないと思う。 ……あんまり痛いのは、無理だけどね。
「じゃあ、僕も履いてみようかな」
「えっ?」
王子様がぽつりと漏らした言葉に我が耳を疑って、俺はまじまじときれいな顔を見つめてしまう。
いやちょっと! 待って! 妄想だけでイっちゃいそうなんだけど!
そんな俺を侮蔑した眼差しで見下ろしながら、李一くんは言葉を吐き捨てた。
「冗談だ、バカ」
ガックリと項垂れながらも俺は華奢な身体にそっと両腕を回してほんの少し力を込める。 まあ、いいんだけどね。
今腕の中にある温かな幸せを抱きしめながら、今日の朝ごはんは何にしようかなとか、いい天気だったら一緒に出かけられたらいいなとか、大好きな李一くんと過ごす休日についてあれこれ思案していた。
"Up to You" end
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