「─── 綺麗なんかじゃないよ」
跪き両腕を伸ばして抱きつけば、しっかりと身体を抱きとめられる。
寒いぐらいに冷えた部屋で感じるぬくもりは、硬く強張った僕の心をほんの束の間ゆるりと解していく。
「柊悟さん……」
そっと顔を近づけて唇を重ねれば、ベッドの上へと抱き上げられる。
縺れ合い転がりながら身体を押しつけて舌を絡ませる。それだけでゾクゾクと背筋が震えてくる。
「……ん……、ふ、ぁ……ッ」
性急に掌の中に握り込まれて思わず声を漏らすと、喘ぎ声を塞ぐようにまた口づけ直される。
緩々と試すように何度か扱かれれば、キスで既に反応し始めていたそこはあっという間に硬く張り詰めていく。
「ん、柊悟、さ……」
与えられる愛撫が苦しくて、唇を離してかぶりを振りながら腰を引こうとするのに、しっかりと押さえ込まれて動けない。
「夏巳……」
耳元で囁かれながら繊細な手つきで巧みに弄ばれて、この人は手先が器用なんだろうなとどうでもいいことを思う。
中心から溢れるように湧き起こる快感に、呼吸がどんどん乱れていく。
柊悟さんの頭が僕の身体を降りていって、胸の頂を啄ばみ、脇腹に、腰にと唇を落としていく。甘く焦れるような快感を植えつけられる度に僕は小さく身を捩って淫らに喘ぐ。
「───ッ、ああ…ァ…っ」
先端があたたかくぬめるものに包まれて、大きな声が漏れた。閉じていた目をうっすらと開けて見下ろせば、柊悟さんが僕のものを咥えこんでいるのが視界に入った。その光景だけで、僕はもう一段高いところへと引き上げられる。
「……ひ、あ、あっ」
舌先がそっと先端の窪みに挿し込まれて、甲高い声をあげてしまう。
「─── 気持ちいい?」
「あぁっ、や、しゃべら、ないで……っ」
「かわいいね、夏巳」
根元を片手で握り込んだままヒクつく僕のものを口から吐き出して、柊悟さんは嬉しそうに囁く。かかる吐息にさえ反応して、腰がゆらゆらと揺れてしまう。
「夏巳の身体は本当に素直だ」
わざと羞恥を促すようにそう言われて、僕は視線を逸らす。いつ達してもおかしくないぐらいになっているものが、再び咥内に包まれてビクビクと悦びに震えた。
「ああ、ん、は……ァっ」
奥深くまで咥え込まれて上下に揺すられれば、せり上がる快感が僕を呑み込んでいく。
濡れた音に聴覚が犯されて、背筋を這い上がる痺れがだんだん強まる。
そんなにきつくしないで。言葉で懇願する代わりに、宥めるように柊悟さんの頭に手を掛ける。柔らかな髪に指を絡ませれば、それは逆効果だったようだ。絡みつく舌の動きが快楽を増長させるものに変わっていく。
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