11,夏休み(天羽戒編) デートにはノータッチ
早速中へ入った

「う、うわぁ」

ピンク色で溢れていた。
そこには様々なR18商品が並んでいた

入ると少し先に、曲がり角があった

広さといえば
そこまで広くはなかった

「お、思ったより広くないんですね」

「こういう店は大体そうだよ」

「へ、へー」

「あ、これネットで見たやつだ!」

今日一番の笑顔を見た気がする
なんて嬉しそうな...

さっきの体調の悪かった彼とは思えない
程だった

「この大きさなら、京くんにも入るんじゃ
ない?」

入れる事が出来たとしても、絶対入れさせない

と誓いつつ、チラっと玩具の方に顔を上げると

「ん」

見上げると両手に玩具を持っていた

左手には少し、と言うか
相当小さいサイズのものと

右手には、今まで見たことがない
そんなの誰にも入らないんじゃないか
と思う程大きいサイズ

二つがあった

いや、まあ、これは悩まなくとも左手の方だろう

「...そうですね。入れませんが」

「うんうん」

やっぱり、左手の方だった

「これね、実は」

「ん」

大きい方の玩具を置いた

「伸びるんだよ」

「!?」

の、伸びた...

戒さんがその玩具を両手にとって
ぐにーと、伸ばした

約30cm程

最後まで入れたら臓器にぶつかりそうだ

「こんなに細長いのは入らないけど、こっちの大きい方は入るよ」

「いやいやいや、」

絶対入らない

「そもそも、戒さんやったこと...」

「こ、これは...!!」

「...」

気づいたらそこには戒さんはいなかった

曲がった先に行ったようだ

移動が速すぎる

追いかけるように、声が聞こえる方に行った

「よし、これを買おう」

戒さんの手元をみると

ボコボコした手のひらサイズのローター
があった

「じゃあ、お会計に行こうか」


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「そしたら...京くん」

「なんでしょう」

「せっかくだし、何か欲しいものはあるかい?
お兄さんが何でも買ってあげよう」

お兄さん...

「いいんですか?」

こういう言葉には弱かった

「僕とデートについて行ってくれたお礼にね」

「そしたら........ご飯を食べたいです」

デートについてはノータッチ

「ご、ご飯かい?」

え、違うの

「ご飯かぁ。京くんらしい」

「そうですかね」

実はずっと、お腹の虫が止まらないんですよ

「そしたら、なにが食べたい?」

「たこ焼きがいいです」

「お、いいね。そしたらそこにしようー」




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フードコートに到着

「フードコートは人が少ないね」

「そうですね」

夏休み真っ只中だと言うのに、そこまで人は多くなかった

「席、とっておきましょうか?」

「いや、いいよ。一緒に買おう」

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「うまい...」

ここまで美味しかった食べ物が
あっただろうか...

ってほど美味しい

「うんうん、美味いねー」


美味しそうに食べてるなぁ

「そうだ、京くん」

「ん」

口にものが入っていて
うまく喋れない

「メイド服着てみないかい?」

「い、いや、着ないですね」

着るかボケ

「ええ...」

悲しげな顔をしながら

バックからメイド服をチラっと見せてくる

「...着ない?」

「着ないですね」

「どうしても?」

む、

なかなか引かない

「撮影のときならいいですよ」

「今度、監督に頼んで見ようかな...」

そこまでして見たいのか...

「んー」

「......」

戒さんはそっぽ向いて
何か考え事をしているようだった

その間、残りのたこ焼きをひたすら食べていた

「......」

よし、食べた

「んー」

「......」

ティッシュで口元を拭く

ふう、美味しかった


「あ!!」

「!!!!」

突然、戒さんが大声を上げた

あまりにも突然でビクッと
驚いてしまった

「6時から仕事入ってた!」

「え!」

戒さんが慌てて時間をみる

「5時だー...」

「ま、間に合うんですか」

「走れば間に合う!」

「もう行ったほうが...」

「勿論!」

そう言ったあと

「京くん1人で帰れる?」

「帰れますよ」

ここなら、友人と行ったこともあるし
なんとか帰れる筈だ

「よし。じゃあ、今日はありがとうね
また機会があればよろしく!」

「あ、ありがとございました!」

そう言ったあと、走って帰っていった

「........」

この後はどうしようか

「帰ろう」

帰るしかないな

他の所に行ったら帰れそうにない
かけるにも見つかったら大変だし...

いや、もう見つかっても大丈夫なのか

ん、いや待てよ

ここで、この俺が1人でこんなショッピングモールにいるなんて、不自然じゃないか?

少なからずかけるは、そう思いそうだ

あまり街に行ったことがないっていうことも、かけるは知っている

「.....」

急いで帰ろう

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この後は、電車に乗って帰っていった

今日はなんとか知り合いと会うことは
無かった

電車に乗っている時も、内心はらはらしていた


家に帰った後は、ベットに寝っ転がって

ぼーっとした

「疲れた...」


そして、ふとポケットの中にあった
携帯をみた

そうすると
かけるからメッセージが届いていた

「お、かけるだ」

ウキウキでかけるのメッセージを見ようとした

通知欄をみると、今さっき来たようだ

そうすると
また違う人からメッセージが来た





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