ログアウト


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「みんな!!アクマが来ます!!」


「なんて数なの!!!」


「オレらの足止めか!?」


「迎撃用意。総員武器を持て!!」




必死に情報をかき集めてやっとみつけた居場所を知る人物―――アニタさん。彼女との数年振りの再会で嬉しく思っていたが次に彼女から発せられた言葉、クロスが日本の江戸に向かいアクマの襲撃を受けて行方不明という信じがたくない事実が分かった。そしてアニタさんが船を用意してくれて私達は乗せてもらい江戸に向かっていたんだけど……前方から大量の空を埋め尽くすくらいのアクマの大軍がやって来てみんなイノセンスや武器を構える。




「あれ…?」


「何だ…?」


「何やってんだこいつら…船を通り越してくさ…!?」




さっきから攻撃しているんだけど何もないかのようにこっちを素通りするアクマが大量。空が見えないくらいの大量のアクマが途切れる事なく空を飛んでいる。こっちに気づいていないみたい。狙いは私達じゃなくて別の何かなのかな?いや、別の何かってなに?クロス狙いなら方向は逆。いったいあっちに何があるって言うんだ。




「アレン!!イザベル!アレンが!」


「えっ!?アレン!」


「伸…」


「あ――エクソシストがいるぞ!」




アレンがアクマに連れ去られたみたいで助けに行きたいんだけど……ラビも私もアクマに存在がバレちゃって相手をしなくちゃいけなくなり助けに行けない!踏ん張ってねアレン。




「エクソシスト――!」


「イザベル!」




数で襲ってくるアクマに背後を取られてしまい襲われそうになるけどラビがそのアクマを破壊してくれた。私も冷や冷やした……。




「イザベル大丈夫か!?」


「ありがとうラビ!危ないところだった」


「冷や冷やしたさー」


「私も……アレン大丈夫かな?リナリーも本部に連絡行って帰ってこないし」


「あの2人だぞ?大丈夫だろ」




それより自分の身心配しろよっと言ってるみたいです。確かにこの数を今相手してるしアレンもリナリーも何かあっても乗り越えられる強さを持っているから心配いらないかもね。ラビの言う通り今は戦いに集中しよ。




「…なんだ?今…遠くで何かが光った」


「良くないことが起こる…血を零したような暁だ」




どれくらいたっただろう。ラビに叱られいや注意されてから船員さんたちを守りながらがむしゃらにアクマを破壊し続けた。まだまだアクマが残っていたけどなぜか撤退したのでやっとみんなが一息をつけるようになったんだけどラビのその一言でみんなが空を見る。マホジャさんの言う通り見ているだけで不安になるような色の暁。嫌な予感が凄くする。




「イザベル!!」


「リナリー…!」


「助けて…」




港に着くと、リナリーが息を切らして呟く。リナリーのその一言で血の気が引くのを感じた。アレンが帰ってきてない。アレンに何かあったの…?まだリナリーは何も言ってないけどアレンの事のような気がしてならない。




「リナリー…アレンがどうかしたの?」


「!うん……アレンくんが…!」




ああ、やっぱりアレンだったか。クラっとよろけそうになる。なんだろう……怪我するなんていつもの事なのになんでこんなに苦しいの?どうして胸がざわざわするの?




「ラビ行ってあげて」


「イザベルはどうするんさ?」


「……ちょっとさっきの戦いで疲れたみたい。アレンをお願い」




無理するなよと私の頭をガシガシと撫でてラビはリナリーと一緒にアレンを探しに行った。私はそれを見送るとその場にしゃがみ込む。確かに戦闘でも疲れたけどさっきから胸が苦しくて痛い。言葉で説明できない痛み。辛いわけじゃなくて苦しいだけなのに動けない。




「イザベルちゃん大丈夫…?」


「アニタさん……すいませんアレンが帰ってこないし嫌な予感がして……」


「……そう。クロス様以外にも大事な方ができたのね」


「!気付いてたんですか」


「ふふクロス様への想いは一緒だからね」




さすがというべきかアニタさんは周りをよく見て私の気持ちに気づいている。笑う姿が綺麗で見惚れてしまう。やっぱりアニタさんは綺麗だなぁ……クロスもきっとこういう人が好きなんだろう。だから恋人になれたんだろうな。




「大丈夫よ。アレンくんだってクロス様の弟子だもの…イザベルちゃんの方がよく知ってるじゃない。きっとリナリーちゃんとラビくんが連れてきてくれるわ」


「…そうですね。すみません心配かけてしまって」


「気にしないで。イザベルちゃんは私にとって妹みたいな子だから……初めてあった時からね」




懐かしい記憶。アニタさんに出会ったのは私がクロスの弟子になって数年が経った時、その時はお母様もいて美人な親子だなという印象。人見知りを発揮してクロスの背に隠れていた私をアニタさんが優しく声をかけてくれて遊んでくれたっけ。




「あの時からアニタさんは優しかった」


「ふふっクロス様の背に隠れたイザベルちゃんが可愛くてお話したかったから」


「主!」


「マホジャ…?どうしたの?」


「使者が来てます」




使者…?教団のだよね…?一体なんの用事だろうか?アニタさんと見合い首を傾げる。いつの間にか胸の痛みは消えていてアニタさんのお陰だなあ後でお礼言わなきゃ。




「とりあえず行ってみましょう。イザベルちゃん立てる?」


「あ、大丈夫です」




自力で立ち上がり使者が待つ場所へと向かう。使者というのはアジア区 支部のウォンさんだった。挨拶をかわして用事を聞こうとするけど、それは全員が揃ってからでというわけでブックマンが呼び戻し帰りを待つ。しばらく経ち2人が帰ってきたけどアレンがいない。嫌な予感が的中した予感。




「お久しぶりでございます。リナリー様」


「!あなたは…アジア支部員の…」


「ウォンにございます。取り急ぎ我ら支部長の伝言をお伝えに参りました」


「伝言?」


「こちらの部隊のアレン・ウォーカーは我らが発見し引き取らせて頂きました」




アレンはどうなったの!?リナリーがウォンさんに詰め寄りアレンに合わせてと頼む。私も会えるなら会いたい…!




「あなた方は今すぐ出航なさってください。
アレン・ウォーカーとは中国でお別れです。辛いとは存じますがお察しください」


「リナリー。お前もティムのメモリー見ただろ。あいつは左腕を失ったんだ。あの時点でどのみちアレンはエクソシストじゃなくなった。オレ達は進まなきゃならないんだ」


「ティムのメモリーってなに…?」


「イザベル……アレンがノアにイノセンスの破壊と心臓を掴まれた映像さ」


「嘘っ…ノアに…!」




その光景を想像してしまい目尻に涙が浮かんでくる。なんて酷いことをするの……アレンが感じた言葉にできない痛みも想像して近くにいたラビの身体に抱きつき顔を埋める。信じたくないけど、現実は残酷信じざるを得なかった。




「ですが私共の船は昨夜の戦闘でひどくやられました。今すぐとはとても…修理には相当かかります」


「心配御無用。本部から新しいエクソシストがこちらに来ております。彼女がいれば出航できるでしょう」


「え?」


「彼女…ミランダ・ロットーなら」




ラビにあやされるように頭を撫でられ落ち着いてきた私は聞いた事のある名前に顔を上げた。そしたら案の定、知っている顔。あの巻き戻しの街で出会ったミランダ本人だった。どうやらちゃんと使いこなせる程になっていて私達にも使ってくれたその能力を船へと使う。そしてみるみるうちにボロボロだった船が出航した状態のものに戻っていて、それにみんながびっくり仰天。




「ごめんなさいごめんなさい〜〜〜〜っっ!!」


「あっミランダが海に…」




なぜかミランダが謝りながら自ら海へと飛び込んでいった。そういえば彼女はそんなキャラだった。まったく変わってない。その姿に今は凄く安心する。




「ミランダー!何やってるんですか――っ」


「ほっといてあたしなんかほっといてええぇええ」


「あっヤバイ沈んでってる!!」


「行けラビ」


「え―――っ!!!」




………と、いうわけで無事にミランダを海から引き上げて出航。江戸へと再出発したんだけど、やっぱりまだリナリーは落ち込んでいた……私も落ち込んでいるっちゃ落ち込んでるけどね。




「コムイ達から?」


「「最新の団服です」って。みんなもうボロボロだろうから渡すように頼まれたの」




ミランダから新しい団服を貰って着替える。もちろん、別室で。下は何も着てないから脱ぐわけにはいかないからね。




「大丈夫か…?イザベル」


「一応、ね。さっきはごめんね?」


「気にすんなさ」




まだ上手く笑えない。一緒にクロスの所に行って今までの文句全部言ってやろう、思いっきり殴ってやろうなど言い合って絶対に見つけようって約束したのに……なんで約束破るんだよ馬鹿!やばい……涙が出る。抑えなきゃ抑えなきゃ…。




「リナリーちゃん…」


「心の整理がつかんのだろう。リナ嬢は昨夜アレンの側を離れたことを悔いておる。自分を責めているんだ」




ガシャン。物凄い音を立ててラビが窓ガラスを拳で割った。




「いい加減にしろよ…仕方ないことだったんさ………っ
オレらは昨日必死に戦った。どうしても助けらんなかったんだよ…っ
戦争なんさしょうがねェだろ!!諦めて立てよ!!!」




ラビの怒鳴り声に何を思ったのかリナリーの目に涙が浮かぶ。それを受けラビに非難の目。




「スマンなリナ嬢。ほれきつくお仕置きしとくから」


「ぐげがぎごげぶぶっっ」




なぜかパンダに見えるブックマンがラビに痛そうなパンチやらを大量にかます。痛そう。




「まあそれに…私には「時の破壊者」と預言を受けたあの小僧が死んだとはどうも信じられん。
室長殿に頼み込んでクロス部隊に入れてもらったのはあの小僧に興味があったからでな。
時の破壊者の「時」とはある人物を指しているのではないかと」




つまり、それは…千年。アレンは千年伯爵を破壊する者だということ。




「ならばこんな所で死ぬハズは無い」




ブックマンの言う通りだ。やっと希望を持てた…アレンとのあの約束まだ破られていないのかも、と。でも、私が譲れないこと…それは千年伯爵を破壊する者。それだけはアレンに譲れない。










「「「コイツが割りました」」」


「ごめんなさい」




ラビがガラスを割ったのに気づいたマホジャさんが部屋に来て凄い形相をしだした。怖いし本当の事なのでラビを指さすと指を鳴らしラビに近づく。




「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


「だ、大丈夫ですよ!ホラ窓を見て」




あまりの形相にラビがミランダに泣きつくとフォローするようにミランダが窓を指さすと割れた窓ガラスが元に戻る。




「勝手に直るのか!?」


「はい。私が発動してる間はこの船の空間は現実の時間に侵されません。
常に最善の状態に回復するようになってます。それに乗組員や私達もこの空間にいるうちはどんな傷を負っても回復します」


「便利な能力だな」


「いいえ。結局は仮初の能力です。
本部で私が学んだことは刻盤とのシンクロ率を上げて発動時間を長くしただけ。私が発動を解けばすべてが現実の時間に戻ります。
だからもしこの船で戦闘になったら無茶しないでください。傷は必ず体に戻り致命傷を負えば必ず死にます。
私の能力は死者の時間を戻すことは出来ません」


「わかりました。皆に伝えておきます」


「だがミランダ。そうなるとお主大丈夫なのか?」


「え?」


「どう計算してもこの船で日本まで最低五日はかかる。それまで発動し続けるつもりか?」




確かにブックマンの言う通りでいくらなんでもミランダの身体に負担が大きすぎる。ミランダ1人で背負わせるなんて倒れそうでとても不安。




「ああ大丈夫。眠れないの得意なの私。失業し続けてた時とか自分のダメさについて考えてたら十日くらい眠れなかったことあるもの」




あ、そうだった。ミランダこんな人だった(2回目) うふふふふと笑うミランダに違う意味で不安になってきた私達だった。



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