残党狩り


「すっかり忘れてた……」


「すいません、私も忘れていたもので……」


「ちょうどいい機会だからいいけどーあ、来たよ」




出てきた4人の中枢美食機関の兵隊。自信満々な2人と表情が読めない2人。残党狩りに繰り出されたあの人の選ばれた兵士達。




「……本当にいいんだね。対決テーマの件……」


「あぁ勿論いいぜ。普通の食戟の対決テーマは…双方の得意ジャンルの中間地点に折り合いをつけて決めるものだが、今回に限っては事前に伝えた通りだ。お前らがせっせと磨いてきたジャンルでブチのめす事にする」




相変わらず性格が悪いし自信満々だ事……それが自分の首を絞めるなんて知らずに。というかピアス顔面にやって痛そう。私は絶対やりたくない。




「……こっちは今までずっと遠月で切磋琢磨してきたんだ!月饗祭の総合ランキングでも上位だった団体ばかりだ。好きなだけ侮ればいいさ…だけどそう簡単には負けない……!!」




そう宣言した先輩だったが食戟の結果――3-0でどの団体も負けた。あれだけ自身満々だったのに敗れてしまいその絶望感で舞台上で四つん這いになる。




「さぁ選べよ。中枢美食機関の命令に従って研究会をバラすかそれとも遠月を退学になっとくか?」


「……………解体を…受け入れる……!」


「どいつもこいつも雑魚だなぁ!!なぁ!!?これで分かっただろ!?お前らは"選ばれなかった"んだ!だから従え!それが正しい!!俺たちセントラルに頭を下げ続けることがお前らに残された道なんだよ!!」


「聞き捨てならないな」「聞き捨てならねぇな」




見事にハモる言葉。声がした方を見ると……あれ?創真くんにタクミくんじゃないか。二人もこっちに来てたんだ。




「………ん?なんか言ったか一年坊主ども」




あーなんか面白いのが見れそうな予感。だけど、そろそろ時間。




「名残惜しいけど行こうか」


「はい!」




私達は観客席を後にして会場の待機室に向う。そして、中に入ろうとドアノブに触れようとしたら…先に扉が開いてびくっとするけどそこから出てきた子に笑顔を浮かべた。




「あら、アンナ」


「うす」


「やっほー!」


「アンナもこれから食戟なの?」


「ゆうくんがね」


「私もリョウくんがよ」




2人が今日参加するのは知っていたけど私の記憶上研究会やらゼミに入ってなかったはず。でもここにいるということはそういうことで。なので2人に聞いてみるとどうやら昔部室と機材を賭けての食戟をしたんだけど…部室と機材だけを手にいれたつもりがどうやら研究会の書類上の名義はアリスちゃんになっていたらしい!




「へーじゃあうちと一緒だね!」


「そうなの?」


「研究会自体もうないんだけど私はいつか役に立つかもしれないからーって書類上はあるって形にするように言っといたら……こうなった!」


「……アンナ姫が闘う訳じゃないんすね」


「えー!十傑じゃないから勝つのなんて目に見えてるし……ゆうくんの汚名返上?秋の選抜ヘマしたからねー」


「……すいませんでした」


「いいよ。心配してないし…アリスちゃん達もゆうくんの勇姿見てて?」




私達の相手は今絶賛創真くんとタクミくんと睨み合い中であろう高等部2年の楠連太郎先輩。リョウくんの実力からすれば勝てると思う相手。対して私達の相手は同じく高等部2年の梁井メア先輩。この人も性格悪…こほん悪趣味な人だし実力は確かにあるけど勝てない相手ではない。




「分かったわ」


「……俺は別に」


「……別にお前に見て欲しいなんて思ってないからな」


「もう!ゆうくんー!」




それは変わってないんだから……ため息を吐き、私達はまだゆうくんの準備を済ませてないから先に行ってもらって準備を済ませて2人の後を追った。




「薙切アンナに蓮城!?お前らもか…!?」


「あ、タクミくんこんにちはー創真くんも!」


「おう!お前らも入ってたのか?」


「私がだ……アンナ姫は付き添いに過ぎない」


「珍しい……ゆうくんが普通に会話を…!」


「嬉しそうだな……そうか薙切アンナも戦わないのか。お前が一番実力が謎だから見ておきたかったのだが……」


「あはは!そう言ってくれて嬉しいよーありがとう!ただ……私が立つにはメア先輩は役不足だよ。立つとしたら…もも先輩とか十傑かな」




目線をメア先輩に向けるといつもの憎たらしい程の笑顔が崩れる…まあ気持ちいいこと……おっと、本音が。いけないいけない。




「ファイトよリョウくん!負けちゃダメよ!最先端料理研主将からの命令なんですからね!
それに何よりも――これ以上叔父様の好きにはさせないんだから」


「……うん。身内の始末は身内がしなくちゃ」




えりなちゃんが大事な気持ちは同じ。口では憎たらしいとか可愛くないとか色々お互いに言っているけど本当はお互いにお互いが心配でだけどそれを素直に言えない。似たもの同士。




「黒木場リョウ…秋の選抜決勝まで残った料理人か。残党狩り1日目の〆としても悪くない相手だな。それよりちょっと今ムカつくことがあってよぉ。お前で八つ当たりさせてもらうわ」


「それは俺を倒せればの話…そっちがねじ伏せようするなら――ねじ伏せ返すだけだ…!!」




おー頼もしくてかっこいい一言!これは面白いものを見せてくれる予感!ワクワクする!


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