ザンザスと兄妹になってから2年が経った。私は9歳になりザンザスは14歳になった。私もまだまだ子供だけどあれからだいぶ大人になりおませさんになった。ただ、それ以上にザンザスは14と思春期に突入し始めて色々と問題ばかりだった。
「おにーさまーこんにちは!」
「……あぁ」
「今日もじゅうのくんれん!」
「……行くぞ」
「うん!」
2年経って関係も変わった。まず、おにいさま呼びは変わらないものの敬語はやめた。というかやめさせられた。うぜえと言われて。あとは、あの日からたまに銃の稽古をしてくれた最初は射撃場だけだったけど今では実戦訓練をできるまでに。でも、まだまだ勝てない。更には部屋に寝泊まりするようになり9代目が思った以上に仲良くなったことにびっくりしていた。
「おにいさまはすごいよね!じゅうをにちょう同時にあつかうなんて!わたし、まだいっちょうしかできない……」
「…直に出来る」
「ほんと!?はやく、あつかえるようになりたいなー」
「なぜ2丁にこだわる…?」
「?だって、おにいさまといっしょがいいから!」
「……ふん」
「あ、ちょっとてれた」
「うるせえ…カッ消すぞ」
「ごめんなさい!てかげんなしではまだむりーっ!」
修行前にザンザスを怒らせると容赦ないので素直に謝る。もう1つ変わったのはザンザスの思ってることがなんとなく分かったこと(分からない時の方が多いけど)照れてるのは分かる。怒ってるのとか。すごい進歩。
「よろしくおねがいします!」
「……行くぞ」
ザンザスが持つ珍しい炎。憤怒の炎。それをザンザスの銃にこめて放ってくる。私の持つ雪属性の炎は憤怒の炎ほどではないものの他の属性よりも攻撃力は高い。凍らすことだってできる。けど、この歳の私にはまだできなかった。でも、負けず劣らずに攻撃力はあったので、私もザンザスから去年の誕生日プレゼントに貰った似たモデルの銃に炎を込めて放ち相殺する。
「できたー!できたよ!」
「油断すんじゃねえ」
「うわっ!」
実は相殺できたのは初めてで喜んでいたら、ザンザスに攻撃されて直撃。吹っ飛ばされた。それをザンザスに鼻で笑われたのはさすがにムカッときた。だから、ザンザスに向かって乱発するもののいとも簡単にかわされまた鼻で笑われる。
「むー!」
「カスが」
「くやしい!」
「ガキのてめえが俺に攻撃があたるなんて思うんじゃねえ」
「たしかに、まだはじめたばかりだけどーていっ!」
隙を狙ってもう1発。今回は相殺された。顔色1つ変えない。さらに悔しい。
「かわされたーっ!」
「ふん」
「……どうしたら、おにいさまみたいにつよくなれるかな?」
ザンザスがこちらに近寄ってくる。銃を手に持っていないから攻撃する気はないのは分かったからザンザスを見つめるだけ。ザンザスが私の前まで来ると私の頭の上に手を乗せて荒々しく撫でられる。
「わわっ!」
「……ガキがんなこと気にすんじゃねえ」
「でも……大人になったら、わたしがおにいさまのしゅごしゃになるかもしれないんでしょ?だからしゅごしゃとして、おにいさまをまもれるくらいつよくなりたい」
「てめえに守られる程弱くねえ」
「……わかってるもん。そうじゃなくて!おにいさまの…んー……せなかをあずける?…あいぼう!になりたいの!」
「相棒だと?」
日本にいた時にお父様がよく見ていたドラマだったか映画だったかに背中合わせに戦うシーンがよくあってそれが印象的だった。いつかやってみたいなーと思っていた。
「うん!わたし、おにいさま大好きだからずっとずっとそばにいられるあいぼうになりたいの!だからつよくなりたいの!おにいさまにふさわしく!」
「…無理だなてめえには」
「え……」
「てめえは弱え。俺を守れると思うな」
「……」
「…だが素質は悪くねえ……雪姫の血をひいているだけある。このままやればできるかもな」
「それって…!」
ザンザスを見上げるけど返答はなく、また頭を乱暴に撫でると部屋へと出ていく。今日の鍛錬は終わり。いつもは寂しい気持ちになるけど今日は違う。直接的にはないにしろ褒められた。それが嬉しくて嬉しくてスキップしながらザンザスの後を追った。