山姥切国広が拗らせ系じゃなくなりました。




「本当に山姥切国広が拗らせ系じゃなくなってたぜ!驚きだな!」



そう鶴に教えられてたのが半刻ほど前
恋人の愛らしい姿を拝めると聞いて様子を見に行こうとやって来たのだが…



「怪我の具合はどうだ国広」
「宗近っ!」



手入れの部屋の襖を開けて声をかける
バッと振り向いた国広は心底嬉しそうな表情を浮かべてこちらに駆け寄ってきた
見られたくないと体を隠している襤褸布は被らないまま俺を見上げて微笑んだ



「これ、まだじっとしておれ」
「手入れは終わった、何で出してくれないんだ?」

「…傷は残りそうか?」
「いや、綺麗に無くなったから大丈夫だ」



山姥切国広は常に痛々しい戦い方をする
傷など残っても写しにはこれくらいかちょうどいいとひねくれた笑みを見せていたのが今嘘のように素直に言葉を返してくる
詳しい事は分からぬが手入れの際に生じた何らかの問題の影響で山姥切国広特有の拗らせ系が消えたらしい

そしてこの様子からすると本人は気付いていないようだな



「主はお主が日頃から無理をしているのを心配しているようでな」「主が?」
「あぁ、もう暫くここで休んでいて欲しいとの事だ」
「…分かった」
「どれ、ではその美しい顔を爺に見せておくれ」



両頬にそっと手を添えてこちらを向かせる
美しい瞳が真っ直ぐに見つめ返してきて、吸い込まれる様に唇を重ねた

常ならばある最初の抵抗がない
小さな違和感は感じはするが、愛らしさは倍増しているのではないだろうか



「国広はやはり美しいな」
「あっ、あまり…見ないでくれ」
「ふふ…照れておるのか?」
「…好いてる奴にジッと見られたら恥ずかしいものだろ」

「っ、あぁ…今日の国広は罪深いな」
「ん?」
「そのように俺の心を乱してどうする気だ?」
「…乱してたか?」
「あぁ、乱していたな」
「…そうか、なら…責任とって、俺が…」


襤褸布の端の結い目をほどき頬をほんのりと染めながらこちらを見上げてくる国広
その表情と行動から何をしようとしているのかは直ぐに分かり、そっと手を握った
確かに嬉しいが今ここで話に乗ったら国広の声を誰ぞに聞かせてしまうかもしれない
ただここまで言ってくれたのを無下には出来ぬか

「国広や、まだ日が高い」
「でも…」
「それに俺はもっとゆるりとお主の体を堪能したいのだが、国広はそれでは嫌か?」



迷うように澄んだ瞳が揺れる
何度か宙を泳いだ視線が俺に注がれ微笑んで答えを促してやると頬を染めながらコクンと頷いた
本当に愛らしい
流石は俺の山姥切国広だ

その頬を撫で、髪を触り体を抱き締める
そうすると素直に体を預けて腕を背中へと回してきた
ドクンドクンと脈打つ互いの鼓動が心地いい

それにしても『拗らせ系』ではなくなった国広がまさかここまで愛いとは
下手をしたら誰かに取られかねん
黙りこみ考える俺を国広は普段よりも少しパッチリと開かれている瞳で見つめて首を傾げた




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