山姥切国広が拗らせ系じゃなくなりました。




「宗近?」
「国広や、お主、手入れの後は誰に逢った?」
「…兄弟と、 加州清光、燭台切に鶴丸国永…あたりか」
「それだけか?」
「あぁ、それがどうしたんだ?」
「いや…何でもない」



不思議そうにする国広に笑って返してやるとポッと頬を染めてはその顔を胸元にうずめてくる
今はまだあまり知られては居ないようだが面白がって言いふらしそうな人物が居るため油断ならない
今のうちに手を打っておいた方が良いかもしれぬな

国広にが素直な内に国広は俺の物だと公言しておくのも手か



「…宗近?」
「ん?どうした国広や」
「手入れ部屋からは…まだ暫く出れない、んだよな?」
「あぁ、そうだな」
「…アンタ、今日は…」
「非番だぞ」
「そ、うか…なら、そのっ…」
「国広?」

「出れるまで…い、一緒に、っ…居てほ…しい、んだが…」



もじもじしながら途切れ途切れに言葉を紡ぎ、少し間を開けてからダメかと問いかけては上目遣いで見つめられる
そのようにねだられて断れる男が何処にいるというのだ
改めてその体を抱きしめ直してやる
それが問い掛けに対する肯定だと分かったらしい国広は普段滅多に見せることの無い愛らしい笑みを浮かべた



「そうだっ、宗近、今日は誉をとれたんだ」
「誉を?大太刀も共に出陣していたのだろう?」
「あぁっ、でも、頑張った」
「ふふ、そうかそうか…美しく強い、それでこそ俺の国広だな」
「次の出陣はアンタとがいい」
「はっはっは、大太刀から誉を奪ったのであろう?爺では相手にならぬのではないか?」

「そしたらアンタの背中は俺が守ってやる」
「ふむ、それは頼もしいな」




次々とあった事を話してゆく国広
無邪気な姿が何やら子供の様に見えてきて
思わず頬を緩めて話に耳を傾けた

拗らせ系がなくなりお喋りになった国広はその後も途切れる事なく話していて高かった日が低くなるまで二人で話した

視線が重なれば頬を染めつつも嬉しそうに微笑む国広
どうしてこのようになってしまったのかは分からぬが、手入れの失敗に感謝しながら

拗らせ系ではなくなった山姥切国広を堪能した




......

(それでなっ…)

((まさか国広がこのようにお喋りになるとはな))






山姥切国広が拗らせ系じゃなくなりました。

(拗らせを無くしたら天使になりました)


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