花粉症患者




「っ…くちゅっんっ!!」



もう学校も春休みに入った
春休みだからて遊んでばかりはいられない
部活以外にも、一年の復習と春からの予習が必要だ
二年の成績は内申点の影響が大きいのだから、馬鹿には出来ない

そう思って、その辺を一番考えて居ない上、
一部科目だけ授業態度も異常に悪い奴を家に連れ込み勉強を始めた訳だが…

何だ…今の音

思わず向かいに視線を向けると、鼻を擦る総司と目があった



「なにっ…一君」
「…アンタこそ何だ、さっきの音」
「音?」
「…『くちゅっんっ』と」
「あぁ、音ってあれの事…あれ、はっ…はっくちゅっん!」

「…」
「くしゃみ、だ…よっ」



くしゃみ…だと?
あんなくしゃみ、初めて聞いた気がするが
…いや、人のくしゃみの音にどうこう言うものではないか

口に出そうになった言葉をグッと飲み込んだ
鼻がムズムズするのか総司はしきりに鼻をさすって、
くしゃみを繰り返す
しまいにはグズグズいいだして

これでは集中出来んだろう

俺のすぐ脇にあったティッシュの箱を総司に差し出す
パチパチと瞬きを繰り返した総司は、綺麗な唇で弧を描いた



「ありがとっ…一くっ…はっくちゅっ!」
「…風邪、か?なら医者にみて貰った方が…」
「いやっ…違く…てっ」



鼻をかんだゴミをポイとゴミ箱に捨てる
投げるな
そう言いたくなったが、まぁゴミ箱に入ったから許してやろう

苦笑いを浮かべる総司に首を傾げた
風邪じゃない…だと



「僕…花粉症、もちだからさっ」
「…なる程な」



そう言えばもう花粉が大分飛んでいるとニュースで言っていた
だが、ピークはまだのはずだ
今からこの状態で大丈夫なのだろうか
いらぬ心配をしながら、部屋の窓を閉める
今日は暖かいから換気にと思って開けていたのだが、裏目に出てしまったか…



「そうならそうと、早く言えば良いであろう」
「一君は換気したいんだろうなーって、思ったから」


…俺の考えがバレている

だが、こうして共に居れば居るほど互いの考えが分かるようになるのは当たり前か
それに総司とは特別長い時間を共にしている
学校や部活の時間は勿論、休日もよく逢っている

男同士であるから、互いに外では目立った事はしないが
一応付き合っている、からな

しかし、総司が花粉症など初めて聞いた
確かにここ暫くマスクをしていた
総司はよく風邪をひくし、またなりかけているのかと心配していたのだが…

まさか花粉症だったとは



「それにさ、花粉症ってなんかダサくない?」



先程、共に居る時間が長ければ、互いを深く理解するのは当たり前だと言ったばかりだが…

アンタのダサいの基準がよく分からん

俺が眉を寄せているのが分かったのか、総司は唇を尖らせる
俺に理解されなかったのが不満なのだろう

『ダサいもんはダサいんだよ』
と言いたそうに俺を見た後、またくしゃみをした





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