白くてやわらかな




「やっ、やめろ総司っ!」
「ふふっ、やだ、やめない」



ツンツンとつつく度にフルフルと震える体
今まで何とも思わなかったのに、こうして見ると可愛く見えてくるから不思議だ
一君の制止の言葉を無視して何度も触ってあげる



「っ、だ、めだっ」
「何がダメなの?」
「そっ、そんな…強くっ」
「へぇ、強くって、こんな感じ?」
「ばかっ、やめろっ」
「やめないよー」



こんな可愛い反応してくれるんだもの
ちょっかい出さずには居られないよね
それにしても、こうしてじっくり触った事なんかなかったけど
こんなに柔らかかったんだ
今度からはもっと優しく触ってあげなくちゃ
なんて、思ってはいるけど、結局意地悪しちゃうかもしれない

不安そうに僕を見つめる一君に笑いかける
大丈夫、そう悪いようにはしないよ
そっと体を撫でてあげるとビクンと震えた
あぁ、こんな二優しくしてあげてもダメなんだね



「そ…総司?」
「あー、もうダメ、我慢できない」
「なっ」
「悪いけど、僕にだって限界ってモノがあるんだよね」
「ちょ、ま…まて」
「それじゃ、もう容赦しないから」

「やっ…やめ」



何度も首を左右に振る一君
でももう、本当に我慢なんて出来ないから
今度は今までとは違ってすこし力を入れて触ってみた



「そっ、総司っ」





ぐちゃ




ぱく





もぐもぐ…





「ん…おいしい」
「だ…だから、あれ程力を入れるなと」
「いいじゃない、食べちゃえばみんな同じだよ」

「そういう問題ではないっ!」



小さくワナワナと体を震わせる所を見ると怒ってるみたいだ
でも、一度開放されてしまった僕は、いつもの様にガッツリ掴む
そうして、何度も口へ運んで、その内その子は居なくなった
確かに優しくしなくちゃいけないのは分かったけどそんなの気にしてたら日が暮れちゃう



「大体、一君の熱のいれ様が可笑しいんだよ」
「アンタが俺と同じ様にしてみたいと…」
「いや、確かに言ったけどさ、可笑しい」
「なっ」

「絶対可笑しいよ。だって相手はたかが豆腐だよ?」
「たかがとは何だ、豆腐を馬鹿にするのかっ」

「いや、馬鹿にするも何も…」



一君が崩さず豆腐を口に運ぶのを見て僕もって思ったのは本当
だけど、僕にはちょっと向いてないみたいだ



「っ…もう、アンタなど知らん」



静かに立ち上がって身を翻す一君
白い襟巻きを靡かせて立ち去る後ろ姿を見送って、そっと視線を落とした
お皿には崩れたせいで残ってしまった豆腐の残骸
思わず溜息をついてから小さく呟いた



「…今度豆腐と僕、どっちが好きか聞いてみようかな」





僕と恋仲の子はちょっと変な子だ






......

((…豆腐って言われたらどうしよう))

((総司が固まってる。ちょっと言い過ぎてしまっただろうか…))




白くて柔らかな

(君に首ったけ)

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