3往復の交換ノート

『特に内容が思いつかなかったから、ターレスの良いところを探してみたよ!人にどう思われているのか、それを知るのってとっても大切だと思うんだ!!
その1.泥だんご作りが上手だった

幼稚園の時にいっぱい作ったよね。石灰は毒の粉。そう教わってきたけど、泥だんごに欠かせないのはその石灰でさ、よく年上の子と喧嘩してたよね。

その2.正義感が強い

節分の時にやって来る鬼に対して、ターレスだけが勇敢に立ち向かったのをよく覚えてる。
サンタさんが来た時は、その人が園長先生を攫ったと思い込んでて、プレゼントを受け取ろうとしなかったよね。まさかそのサンタさんが園長先生だなんて、純粋なターレスにはわからないもんね。

その3.好き嫌いがない

給食の時間は、好き嫌いなく、おかわりもするから素直に尊敬しました。私の嫌いなものも食べてくれたし、牛乳はよく飲んでもらったっけ。当時は私の方が高かったから、ナマエは飲むな、オレが成長する。それが口癖だったかなぁ。

その4.リーダー的存在

中、高は、いつもみんなを引っ張るリーダー。新たな友達、ダイーズたちは、そのセンスに惹かれたに違いない

その5.負けず嫌い

よく音楽の時間は居残りテストだったよね。リコーダーもまともに吹けないターレスだけど、影で練習していたのを偶然見かけちゃいました。そういうところ、見直しちゃいます。

その6.特徴的なくせっ毛

ターレスだとすぐわかる目印なので、ありがたいです。


他にもまだまだいっぱいあるけれど、とりあえず今回はここまで。
それと最後に。私の我が儘に付き合ってくれて本当にありがとう。
たかが腐れ縁の野郎と1週間付き合え!なんて、むちゃくちゃな話だけど。だから私なりに精一杯頑張るので、ビシバシ鍛えてください。
P.S. ターレスは恋したことある?』



そういやナマエとお試し男女交際に付き合わされたんだ。
それを思い出したのは、その次の日の2限目だった。

その日に唯一顔を合わせる授業で、ナマエはオレに真新しいノートを差し出した。

まさかこれに授業内容をまとめてこい。そう言われる気が若干して、即答で却下するためにナマエの言葉を待ち構える。
しかし出てきた言葉は想定外のものだった。


「男女交際と言ったら、交換ノートだよね!」

その笑顔は純粋そのもの。
ナマエにとって男女交際……カップルというものは、きっと汚れを知らないピュアなお付き合いに違いない。

別にキスとか、それ以上が汚れているとは思っちゃいねえさ。
そもそも“お試し”なんだから、そこまで付き合うつもりはさらさらないがな。


とりあえずナマエの頭の中は……純粋というか、純情というか……


「目指せ三日坊主だよ!」


あぁ、ただのアホなガキか。





「見かけによらず……綺麗な字だな……」


びっしりと書かれているが、不思議と文字を追ってしまう。

内容はほぼガキの頃のことで、最後に至っては意味が分からない。
つか、初っぱなから書く内容が思い付かねえってなんだよ。


「嬉しそうな顔をしていますよ」

と隣で微笑むダイーズを殴り、ノートに今日の出来事を書いといた。



『1週間限定とは言え、このオレ様が彼氏なんだ。つまらねえレポート書きやがったら、ただじゃすまねえからな。
それと、ガキの頃からナマエは元気で明るいってイメージだ。確かに変な関係だけどよ、とりあえずよろしく頼むわ。
追伸 一度だけなら、あるかも。』




さて、どんな内容が返ってくるか楽しみだな。
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