告白を断れなかった 


〜男鹿くん編〜


「俺と付き合ってください」



同い年かと思われる男の子と目が合うと、開口一番にそう言われた。
がっしり掴まれた肩が、ちょっと痛い。


「あのっ、人違いじゃありませんか?」

「んなわけねえ!」


きっとそうであるだろうと思っていたが、その人はブンブンと首を横に振る。
どうやら、ガチで私に告白をしたらしい。


「私、初めてあなたと出会いました。あなたの事わからないし、あなたも私の事わからないんじゃ……」

「これからお互いを知っていけばいい。そうゆうもんだろ?」

「そうなのかな…?」


ってこらこら、相手のペースに呑まれたらダメじゃないの私!!
男女交際には順序というものが存在して、そんでもって発展していくんだから。
初めて出会って開口一番に「付き合ってください」はないわよ。うん。


「見つけたぜ、石矢魔の男鹿辰巳!」


1人で腕を組み、うんうんと頷いていたら悪そうな不良がまぁ随分と取り囲んでいたんですよ。
彼らは男鹿辰巳くん?に用があるみたいだし、私がそーっと帰ろうとしたら、


「離れんじゃねえぞ」

がしりと腕を掴まれて、もう逃げ場がありません。
が、私はそこで重大な事に気づいたのです。
彼の背中にしがみつく…裸の赤ん坊…

えっ、何なのこの人?
バツイチなの?


「減り込みパーンチ!!」


って、こっちはこっちで何かもう喧嘩始まってるし、何なんですかこの状況!!



「仕方ねえ!女だ!女を狙え!!」

1人の男がそう言うと、重そうなパンチが私目掛けて飛んでくる。
ヤバいと思って目を瞑る、が、痛みはなかった。
恐る恐る目を開けると、私の顔の前で男鹿辰巳くんが止めていたのだ。
でも、メシメシ鳴ってるけど大丈夫かな?

「俺の女に指一本触れて見ろ。地獄逝きだぞゴルァ」


男鹿辰巳くん…ごめんなさい。
助けてくれるのは嬉しいけど、怖すぎます。大魔王並ですよ多分。


「ダブーー!」


ここで赤ん坊は雄叫びですか。
もうわかりませんよこの2人。


「ふー、これで邪魔者は消えたね」

「私も邪魔者だったり…なーんて」

はははと笑えば、男鹿辰巳くんもはははと笑った。
でもね、目が笑ってないよ。


「じゃあ続きな。俺と付き合ってください」

「……はい」


断れば、先ほどの不良たちと同じ目に遭う。ならば選択肢はただひとつ。
引きつった笑顔で言えば、彼は嬉しそうに笑った。



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