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22

あの成宮くんが、私のことが好き。
衝撃的すぎる告白の翌日、私は成宮くんとどう接したらいいのかわからなくてこれみよがしに避けてしまった。
成宮くんも成宮くんでいつもみたいに突っかかってこないから、お互いに気まずさを感じてるみたい。
そんな中タイミングが良いと言っていいのか、帰りのHRで席替えが行われて私と成宮くんは教室の端と端になってしまった。極端だ。


「ねえ!」
「!!」


一晩ぐるぐる考えてもどうすればいいかなんてわからなかった。昨日のことを私の中で消化するにはまだまだ時間が足りないのに……放課後、ついに成宮くんに捕まってしまった。
目が合って、どんな顔をすればいいかわからなくなる。私、いつもどうやって成宮くんと話してたんだろう。


「ねえ、返事……まだ聞いてないんだけど。」


返事もなにも、言わせる隙も与えず逃げたのは成宮くんの方じゃん。いつもなら言えた軽口も出てこなかった。
とりあえず今は逃げられそうにないから、全然整理できてない頭の中を正直に打ち明けよう。


「だって、私と成宮くんとか……ありえないと思ってた、から……。」
「何ありえないって。眼中ナシってわけ?」
「違う!成宮くんは野球部のエースで、強くて……そんな人と私なんかとか、考えちゃいけないことだって思ってた。」
「はあ?考えちゃいけないって意味わかんない!名字さんと俺と、何が違うって言うわけ!?」
「!」


成宮くんと私は住む世界が違うと思ってた。
成宮くんは人気者で誰もが名前を知ってる人。それに対して私は特別目立ちもしない生徒A。こうやってお喋りするなんて、少し前までは考えられなかった。
大袈裟な言葉で言うなら身分違い……けれど、成宮くんはそうは思っていなかったようだ。


「ほんっと名字さんむかつく!俺いっぱい声かけたのに何も思わなかったわけ!?」
「だから!考えちゃいけないって思って……私だけが特別じゃないんだって、言い聞かせてきたのに…!」
「特別なんですけど!?ジュースあげたり、メアド聞いたり、名字さんにしかしてないじゃん!」
「そ、そんなのわかんないじゃん!私の知らないところで他の女の子にもしてるかもしれないし……」
「俺そんな軽い男じゃねーし!!」
「なっ…」


確かにジュースを貰った時も連絡先を聞かれた時も……折り鶴をもらった時も電話してくれた時も、嬉しくてドキドキした。私だけが特別扱いされてるみたいで。
どんどん期待が膨らんでく一方で、理性を持った私が待ったをかける。期待して、その期待が外れた時はどうするんだ。


「…俺のことどう思ってるか、聞かせて。」
「…成宮くんは……私とは全然違う世界にいる人だと思ってた。」
「……」


外れた時は外れた時だ。成宮くんが気持ちを打ち明けてくれた以上、私も素直な気持ちを伝えるべきだ。


「かっこいいって、思うよ…。」
「!」


言ってからものすごい恥ずかしさがこみあげてきた。こんな気持ちで男の子に「かっこいい」なんて伝えたの初めてだ。他にもいろいろ伝えなきゃいけないことがあるはずなんだけど、うまく言葉が出てこない。


「じゃ、じゃあ付き合ってくれる!?」
「え…と、それは、ちょっと待ってほしいっていうか…」
「何で!?」
「いきなり付き合うとか、そんな目で見られないというか…」
「はあ!?」


もちろん成宮くんのことは素敵だって思ってる。だからって付き合いたいとか、そういうこと考えたことなかったからこんな急展開……正直困る。今まで男の子とお付き合いをしたことがない私にとっては難易度が高すぎる。


「でも!真剣に考えてるから、成宮くんがよかったらもう少し待って…」
「待てない!!」
「!」


今すぐどうこうするっていう決断ができないからもう少し考える時間が欲しい。それを伝えたら間髪入れずに拒否された。


「いいじゃん付き合えば!俺のことかっこいいって思ってんなら問題なくない?俺のこと好きってことじゃん。」
「なっ……」


そして続く成宮くん節。何で成宮くんにそんなことを言われなきゃいけないんだろう。ていうかこんなこと、普通の人だったら言えないよ。
どこまでも自分勝手な成宮くんを見上げると、その顔は見たことないくらい真っ赤だった。私と目が合うと気まずそうに右下にそらした。その姿がなんだか可愛らしいと思ってしまって、胸の奥がくすぐったくなった。友人が言う「きゅんとする」っていうのはこういうことなんだろうか。だとしたら、やっぱり私は成宮くんのことが好きなんだ。


「…付き合って。」
「……成宮くんのワガママ。」
「あーそうだよ!で!?俺はいつまで返事を焦らされるわけ!?」
「…うん。成宮くんのそういうところ、好きかも。」
「!!」
「えっと……よろしくお願いします。」





■■
完結です。
ワガママで自分勝手な成宮くんが書けて満足です。
閲覧、応援コメントありがとうございました!




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