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10

「やっぱり朋也はさ、野球やってる時が一番かっこいいよね。」


名前の口からポロっと出た言葉は俺の心臓をうるさくさせるには十分だった。
つか、そんな不意打ちズルいだろ。


















「………」


昨日の夜は名前に不意打ちくらったせいか、寝付くのに時間がかかった。だって「かっこいい」とか、普通に言ってんじゃねェよ。誰にでも言うのかよそんなこと。
俺から頼んどいてなんだけど……あいつ、男子校に一人女がいるっていう自分の状況わかってんのかなぁ。昨日だって夜遅くまで部員とUNOやってたみたいだし……いくらあいつらが年下っつっても2つしか違わねーんだぞ?もうちょっと危機感ってモンを持った方がいいと思う。
……なんて面と向かって言ったところで名前は「大丈夫」って他人事のように笑い飛ばすんだろうけど。


「……歯ァみがこ。」


時間は6時。名前は……多分まだ寝てる。
散々部員に文句言っといてなんだけど、名前には呂佳がいた部屋を使ってもらってるから俺の部屋とは襖一枚でしか区切られていない。
いや、別に下心とかなくて!俺は絶対そーゆーことしない自信っつーか、決意があったからであって!
他に空いてる部屋っつったら3年の部屋の隣しかなかったんだ。あいつらの隣なんて煩いだろうし、何があるかわかんねーし……それなら、俺の隣にいてくれた方が安心できるっつーか……


「〜〜〜っ」


あー……なんだ俺、まだ未練タラタラなのかよ、かっこわりー。
別に名前をマネージャーに誘ったのは俺のためじゃなくて、普通に来てくれたら部活として助かると思ったからだ。
そんで中学時代、確かに俺は名前のことが好きだった。散々呂佳に急かされてきたし、夏の大会が終わったら告白だってしようと決めてたんだ。けど……夏の大会で俺の肩は壊れた。名前は自分のことのようにボロボロ泣いてくれたっけ。
結局部活が終われば俺達の接点はなくなって、高校もそれぞれ違うところに行った。本当に、それっきりだった。かえって俺はケジメがつけられたんだけど。
だから今こうして一緒の部活にいると、まるで中学ン時に戻ったみたいで……


「……はァ。」


ま、どーせ名前は俺のことそんな風に見てねーんだろうな。じゃなきゃ襖一枚隔てた向こうで爆睡しねーよ。
つか、そろそろ起きなきゃ間にあわないんじゃないか?朝飯は7時。今は6時。俺なら間に合うけど女は髪セットしたり化粧したりすんだろ?


「おい名前ー朝だぞー」
「………」


もちろん入っていけるわけがなくて襖越しに声をかける。が、反応なし。
まさかいないってことないよな?ちょっとだけ襖を開けてすき間から覗いてみた。うん、ちゃんといる。
俺今すげー怪しいけど別に後ろめたいことは断じてしてねェ。


「名前ー起きろー」
「……」


反応なし。
んー、どーすっかなァ。大人が寝坊してたら部員に示しつかないし、名前も絶対起こさなかったって怒るだろうし……よし、起こす。
俺は襖を開けて名前の部屋に入った。知るか、起きないヤツが悪い。


「おい名前!いい加減……」
「やあ……まだねる……」
「っ、お・き・ろ!」


布団の上から揺すると掠れた返事がきた。
早くなる心拍数を誤魔化すように、俺は思いっきり布団をはいだ。それでもまだ寝ようとしやがったけど、やっぱり布団がないと落ちつかないらしくてむくりと起き上がった。


「よっ。目ェ覚めたか?」
「……っうあああ!?」
「いってェ!!」


思いっきりビンタをくらった。


「何すんだよいきなり!」
「なっ、だ、だって!何で朋也がいんの!?何入ってきてんの!?信じらんない!」
「だってお前全然起きねーんだもん!もう6時過ぎてるからな!」
「えっうそ!?」


















−朝食の時の部員トーク−


宮「お、おい……なんか監督と名前さんの様子おかしくねェ?」
匠「確かに。名前さん、監督と視線合わせようとしねーぜ。」
謙「うわ、ほんとだ。」
哲「昨日何かあったのかな?」
和「監督の頬赤くなってない?」
善「……ほんとだ。」
公「ま、まままさか監督が名前さんに手ェ出したとか!?」
矢「変な想像すんなっつの。」
宮「でも叩かれた感じだよな、あれ……」
匠「誠聞いてこいよ。」
和「いや、流石に無理だろ。」








■■
ここでおしまいです。
閲覧ありがとうございました。





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