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兵長1



「はあああああ!?」


その声は会議室、食堂、廊下、調査兵団本部ありとあらゆる場所に鳴り響いた。








「何それ!信じられない!…ほんっと信じられない!!」
「うるせぇ黙れ。」


声の主は分隊長のハンジだった。
そしてハンジの数歩先を早足で歩くのは兵長のリヴァイ。一人で一個旅団分の戦闘力があり、人類最強と謳われる男である。
先ほどのハンジの悲鳴はこの男に向けられたものであり、今も尚その論争は続いている。
後ろで喚くハンジを視界にも入れずにリヴァイが足早に向かうのは会議室。
何故ならこれから次回の壁外調査の打ち合わせをすることになっているからだ。
2人はそのままの勢いで会議室に突入した。


「聞いてくれよエルヴィン!リヴァイったらありえないんだ!」
「どうしたんだハンジ。結構前から君の声が聞こえていたが。」
「気にすることねェ。さっさと会議始めるぞ。」
「あーもう本当信じられない!エルヴィン!私達もう長い付き合いだろう!?何回も一緒に死線をくぐり抜けてきた仲間だろう!?」
「あ、ああ、そうだね。」
「おい、会議に関係ない話はするな。」
「今は会議なんてしてる場合じゃないんだ!」
「いや、会議はやらないと困るんだが…。」


これから会議だというのに、今のハンジには目前の問題しか考えられないようだ。
その目前の問題というのが、一緒に会議室に入ってきたリヴァイにある。


「いったいどうしたっていうんだ?」
「エルヴィンはリヴァイに奥さんいること知ってた!?」









「な……え…、え…!?」


このままではいつまでたっても会議に手がつかないので、まずは目前の問題を解決しようと聞いたエルヴィンだったが、
その問題はすぐに解決できる許容範囲を超えていた。
そりゃあもう、会議のことなんて頭から一気にふっとんだ。


「やっぱり知らなかった!酷くない!?そんな重要なことずっと黙ってたなんて……裏切られた気分だ!」
「チッ…」
「リヴァイ……本当なのか…?」
「俺はもう30過ぎだぞ。別にいてもおかしくねェだろ。」
「だったら何で教えてくれないの!?結婚する時も!そもそも交際してる時も!」
「特に聞いてこなかっただろうが。」
「言うでしょ普通さああぁあ〜〜!!」
「うるせぇ。」


そう…何年も一緒に苦楽を共にしてきた仲間であるエルヴィンもハンジもミケも、誰一人としてリヴァイの色恋沙汰を聞いたことがなかったのだ。
まあ、普段生活している環境が浮ついたものではないためそういった話題が出にくいのも確かだが、どこからしらでタイミングはあったはずだ。結婚することぐらい報告があってもいいのではないか。


「おいエルヴィン、会議を始めるぞ。」
「あ…」


リヴァイは構わず会議をすすめようとするが、エルヴィンの手にあった会議資料はいつの間にか床に落ちていた。


「挨拶を……しなければ……!」
「は?」
「いいねそれ!」


そして半ば強制的に、エルヴィンとハンジによるリヴァイ家訪問が決まった。






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