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弱肉強食

「名前って耳弱いよネ。」
「……」


とある昼下がり、団長がものすごくいい笑顔で言い放った一言が、コレだ。









「団長いきなり何ですか!」
「え、わかんないの?つまり耳が感じやすいってことだヨ。」
「いやそういうんじゃなくて。」
「だって息かけただけで反応するじゃん。」
「アレは普通にびっくりしただけです。」


ああ、書類を処理してたらいきなり「ただいま」って耳元で囁かれたときのアレか。
そんなのね、誰でもびっくりしますよ。団長全然気配なかったから私心臓止まるかと思ったくらいだよ。


「じゃあ試してみようよ。」
「何をですか?」
「名前がどれだけ我慢できるか…」
「ーーッ!?」


いいいつの間に私の耳元にーーー!!


「ホラ、感じてるでしょ?」
「くくくすぐったいだけです!」
「くすぐったいところって性感帯なんだよ?」
「じゃあ気持ち悪いだけです!」
「名前は素直じゃないネ。」


わざと息がかかるように耳元で喋ってくる団長。
生暖かい空気が耳にまとわりついて気持ち悪い…!
それに、男にしては割と高いと思っていた団長の声が思ったより低く聞こえてドキドキする。
も、もしかしてわざと低くしてるとか?そうだとしたらなんというドSだ…!
でも、ここでドキドキしてるのがバレたらとんでもないことになりそうだ。へへへ平常心、平常心…


「ひぎゃああ!!」
「あはは、何その悲鳴。可愛くないなァ。」


鼓動を落ち着かせようと深呼吸した私だけど、団長の行動で水の泡になってしまった。
だってこの人、いきなり私の胸を鷲掴みにした!そりゃあ乙女らしからぬ声だって出ますって!


「ねェ名前……ここ、すごくドキドキしてるよ?」
「ふあ…、そんな、こと……」
「そう?俺の勘違いかな?」
「やっ、やめてくださ…っ…!」


団長の唇は相変わらず私の耳元で甘い音をたてながら、手では胸をやわやわともみ続ける。
あんなに乱暴に掴んでおいて、今度は優しくするなんて、ずるい…!
私の心臓がこの上なくドキドキしてるのだって、私が威勢を張ってるのだって、団長は全部お見通しなんだ…!
逃げようと身を捩っても後ろから抱えられた私に逃げ場はない。


「うっ、わ、私耳弱いんですっ!だからやめてください!!」


これはもう変な意地を張ってる場合じゃない。
私は正直に白状した。私の負けでいいから、とにかく今の状況から抜け出したかった。


「うん、知ってるヨ。」
「……は!?」
「そんなの名前の反応見ればわかるよ。」
「え、じゃあ…」


私が負けを認めれば団長はやめてくれると思ってたんだけど……あれ?おかしいな、やめる気配がない。
団長の唇は耳から離れて首筋に降りてきて、その感触に腰がぞくぞくと震えた。
胸を揉んでいた手は私の服のボタンを外していて……あれえええ!?


「あっ……」
「首も弱いんだ?名前は弱点だらけだね。」
「やっめ…!」
「名前の弱いところ、全部教えてよ。」
「!!」


なるほど、端から私を逃がす気なんてこの人にはなかったんだ。





■■
神威こんなんばっかだ。





end≫≫
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